秋。空が高い。
運動会のシーズンである。
近くの小学校の前を通りがかったとき、校庭で運動会の練習をしているこどもたちの姿を見つけた。
高学年のこどもたちがダンスの練習をしていた。
相変わらず、朝礼台の上に教師が立ち、こどもたちの動きについて指示をとばしていた。
平成20年の学習指導要領の改訂により、中学校の体育でダンスが必修化された。
中学校でのダンス必修化を受け、小学校でも運動会で集団ダンスを踊るのが定番化している。
実際、ダンスが苦手な長男は小学校・中学校を通してずっと、運動会で毎年ダンスを踊らされた。
本来、ダンスというのは「自己表現」である。
ストリートダンスのように、自分の感情がおもむくままに即興で好きに踊れるならば、それでいい。
けれども、学校での集団ダンスは組体操と同様「一糸乱れず揃っていること」が求められる。
学校では組体操や合唱コンクールと同様、「集団を統率するために」ダンスが利用されている。
そこに違和感がある。
集団の一体感を楽しめる人にとっては学校ダンスは心地良いだろう。
けれども、学校側がダンスに求めるものが透けて見えるこどもにとって、学校での集団ダンスは苦痛そのものだ。
「中学校でのダンス必修化」は運動が苦手な子にとって誠に迷惑な流れである。
周りと動きがずれてしまい、友だちにからかわれる。だから「ダンスが大嫌い」というこどもは全国にたくさんいる。
音楽に合わせて体を動かすことは本来、とても心地が良いことだ。学校でのダンス体験が原因でダンスがキライになるのは本当にもったいない。
運動会シーズンのこの時期、集団ダンスの練習にうんざりしているこどもたち。
どこぞの国のような一糸乱れないダンスをこどもたち全員に課すのは、もう止めたらどうか。
何度も言うが、ダンスは「自己表現」である。
音楽に合わせて体を動かすことが心地よければ、それで充分である。