学校と医療(精神科)の関係について、いままでいくつか個人的な感想を書いてきた。
公立小中学校に「巡回相談」という形で、精神科医がこどもたちの様子を見に来ることがある。
精神科医の巡回相談は、発達障害や精神疾患が疑われる子どもの様子を観察して、対応を教師にアドバイスするためでもある。
スクールカウンセラーの多くは臨床心理士だが、精神科医や教員経験者もスクールカウンセラーとして働くことができるのだ。
学校だけでは手に負えない事項が多く発生するようになっているので、学校と連携する精神科医が少しずつ増えている。
学校への医療の介入について思うこと
学校に医療が介入することはメリットとデメリットがある。
学校にとってはメリットのほうが大きいのだろう。
臨床心理士は発達障害の診断ができないが、医師はこどもをみて発達障害かどうかの見立てができる。授業を受ける子どもの様子をみるだけでは診断はできないが、医師の個人的見解くらいは学校側に伝えることはできる。
それは学校側の大きなメリットだ。
「こどもについて精神科医がこういう見解を持っている」という話を保護者に伝えて、保護者に小児精神科の受診を促すことができる。
一方で、デメリットもある。
そのひとつが、こどもの様子がすべて医療ベースで片付けられてしまうことだ。
保護者のネグレクトでこどもが荒れていることだってあり得る。
そうなると医療ではなく福祉の話なのだが、そういうケースも丸ごと医療の対象になってしまう。
精神科医が「支援級が妥当」
もう時効だから書くが、長男は小学校高学年の頃、校長から「精神科医が巡回相談に来て、長男君は支援級(知的障害)がふさわしいというコメントをもらった」という話があった。
精神科医の巡回相談は診断ではなく、あくまで「相談」-精神科医の見解なので、「個人的な心証」として気軽にそういう見解を出せるのだろう。
ただ、巡回相談以降、学校側は強気になった。学校は、巡回相談で精神科医からもらったコメントを「お墨付き」として、支援級(知的障害)への転籍を求めてきた。
長男は支援級に行く気はまったくなかった。
けれども、学校側は精神科医のコメントを「お墨付き」として、長男が小学校を卒業するまでの間、学校は支援級への転籍をすすめてきたし、進学先の公立中学にもその旨を申し送った(と思う)。
学校側は「精神科医のお墨付き」をもとに保護者に強く出る。
やっぱり「お医者様」は権限がある。「お医者様の言うことは正しい」になってしまうのだ。
学校はずっと、長男に発達検査を受けさせたかったのだろう。
でも、公立中学卒業までなんとか逃げ切ることができた。やったー!
義務教育期間を医療から逃げ切ることができて、もう、最高に爽快である。
長男は医療がなくても学校でずっと楽しく過ごせてこれたのだ。
その後、長男は中学生になり、高校受験の頃には入試問題の国語の記述問題を解答できる程度までは文章を書けるようになった。苦手だった漢字も覚えて書けるようになった。支援級の転籍は必要なかったと思っている。
一方で、私のように医療にかかりたくない保護者にとっては医療を強制されるのは困る。ワクチンを接種したくないのにワクチン接種を強制されるのと同じだ。
こどもが少し変わっているとすぐ精神科受診を勧めてくる今の学校は、ああ本当に息苦しい。
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