都立の工業高校は今年度(2023年度)から「工科高校」という名称に変わった。
ここ数年、都立工科高校の定員割れが続いている。
都立工科高校の定員割れは、以前は工業高校に進学していた生徒が通信制高校に流れている影響が大きいのだろう。
私立高の授業料無償化により通信制高校に通いやすくなったことも大きく影響しているのだろう。
わざわざ受験勉強して都立工業高校に入学するより、実質的に無試験の通信制高校への入学を選択したくなるのは当然だ。
でも、メカ好き・設計好き・手を動かすのが好きなら、工科高校を選ぶのも悪くない。
この辺は有名なサイト「都立に入る」でも取り上げられている。
世の中には理屈より実際に手を動かしたほうが理解できることも多い。
それに都立工科高校は公立だから設備が整っている。
普通科にこだわって下のほうの私立高に行って高額な学費を払い、大学合格実績を伸ばすための大量の課題に追われるよりも「専門学科を選ぶ」という道もある。
とはいえ、都立工科高校にはちょっと気になる点があるのも確かだ。
以前、ある都立工業高校を見学した感想を書いた。
長男は都立工科高校の受験も考えたけれども、結局、別の都立高校を受験することにした。
以下、都立工科高校のどんなところが引っかかったのか正直に書く。
都立工科高校の感想その1・工科高校ごとにレベルがばらつく
都立工科高校といっても大学進学者の割合は結構ばらつく。
普通科と同様の入試を課し大学進学者が結構いる工科高校から、チャレンジスクールで学科試験なしで入学できる工科高校まで様々だ。
長男の場合、
・学科試験なしで入学できる工科高校
この2つは中退率が高そうなので、選択肢から外した。
そうなると、我が家から進学実績が良い都立工科高校まで電車で1時間以上かかるので、都立工科高校の受験は断念した。
都立工科高校の感想その2・生活指導がニーズに合っていない
都立工科高校に見学に行ったとき「我が校は卒業後⇒就職を想定しているので生活指導に厳しい」という話があった。
ただ今は都立工科高校からも大学・専門学校に多く進学する時代である。
都立工科高校での生活指導がニーズに合っていないように思える。
もちろん就職する生徒もいるし最低限の身だしなみは必要だろうから、ある程度の生活指導は必要だ。でも、過半数が大学・専門学校に進学するような高校ならば、高校生として一般的な生活指導で十分だと思う。
通信制高校に通う生徒たちのラフな格好を見れば、都立工科高校の「生活指導に厳しい」イメージのせいで都立工科高校ではなく通信制高校を選ぶ生徒も多いだろうと思う。
都立工科高校の感想その3・高卒就職の内情が不明
我々が見学した都立工科高校では「高卒就職の求人数が多い」ことを宣伝していた。
けれども、どんな企業にどんな職種で就職しているのか、都立工科高校での高卒就職の内情がよく分からなかった。
「体力がある若いうちだけ働いてもらって、年をとったら使い捨てる」目的で求人を出している企業に高卒で就職するのは遠慮したい。
親としては、手に職をつけてから社会に出してあげたい。そう思う保護者はたくさん居ると思う。
最後に
都立工科高校は、工業教育の場としてのポテンシャルが高い。
都立工科高校には、「実際に手を動かしてみる」という普通科の高校にはない魅力があるのだから、生徒にとって魅力が合って行きたいと思える高校に生まれ変わってほしいものだ。