以前、魅力的な私立高校が少ないという問題というテーマで、
「東京都の高校受験で入学できる私立高校には魅力的な高校が少ない」
という、誠に勝手な個人的意見を述べた。
でも、魅力的な高校が少ないのは私立高校だけではない。
残念ながら、
東京都では、魅力的な私立高校が少ないだけでなく、魅力的な都立高校も少ない、
とわたしは感じている。
レベルが高い高校ならば、高校受験で入学できる、良い学校は確かにある。
でも「中の上」から下は、行かせたいと思える高校が少ない。
上から目線でこんなことを言って申し訳ないのだけれど。
わたしは中学受験推進論者ではないけど、
「高校受験の状況がこんな感じでは、中学受験する家庭が増えるのは仕方ないな」
と改めて思う。
「そんなことなら、こどもを勉強させてまともな高校に入ってもらったら」
という声が聞こえてきそうだ。
確かにその通りだ。
今回は、わたしが都立高校のどんな点に魅力を感じないのか、
レベル別にまとめてみた(上から目線で申し訳ない)。
上位都立高校(偏差値65以上)
上位都立高校の大学受験結果は、私立中高一貫校には及ばないものの、
なかなか健闘しているといわれている。
「確かにその通りだ」とわたしも思う。
でも、中高一貫校に対抗して、
高校3年間の学習で都立高校が大学合格実績を作るには
かなり詰め込み学習にならざるを得ず…。
中には、往年の「自学自習」・「自主自立」の雰囲気が薄れてしまった上位校もある。
今や、上位校の多くは「現役至上主義」である。
でも、自分の進路や進む道、自分が向いていることや自分がやりたいことを
じっくり考える時間を高校生にもっとあげてほしい。
これからの時代を切り開く人たちなのだから、
「大企業や役所に入って将来安泰」という人ばっかり増やしてもしょうがない。
「若い人にもう少し回り道をさせてあげてもいいんじゃないか」
と個人的には思うのだけれど、そういう考え方は主流じゃないんだろう。
中上位都立高校(偏差値55~65)
この辺りの高校は、学校によって雰囲気がかなり違うと感じる。
国公立大学の合格実績を伸ばそうとしているけれども、
なかなか厳しいんじゃないかと思う高校もある。
だって、現状、国公立大学の合格者が5人前後なのだから、
そう簡単には国公立大学の合格者は増えない。
それに、
国公立大学の合格者を増やす必要があるの?
国公立大学の合格者を増やして何になるの?
とすら思う。
それに、経済的な理由により、大学に通うならば地元の国公立大学にしか通えないような、
地方の苦学生のパイを奪ってどうすんのよ。
中位都立高校(偏差値45~55)
最近やたらと校則が厳格化している高校が多いのがこのあたりの偏差値の都立高校だ。
私服化を制服義務化したり、
服装検査を強化したり、
校内スマホ禁止にしたり、など。
昔はこの辺りのレベルまでは自由な雰囲気の都立高校があったけれど、
最近は、中途半端に私立高校みたいに生徒を管理するようになっている。
学校側からすれば、
授業中の私語やスマホ使用を規制して、
学業に意識を向けさせたい、というのはよく分かる。
でも、校則を中途半端に厳しく規制した結果、
受験生に敬遠されて、偏差値がどんどん落ちている高校もある。
ところで、
都立高校というのはなぜか、
偏差値56~62くらいの都立高校の数が一番多い。
正規分布に従えば、
本当は、
偏差値45~55の生徒の数が一番多いから、
偏差値45~55の都立高校の数が一番多くてよいはずだけれども、
現実はそうではない。
偏差値45~55の生徒は、
都立高校に進学するよりも、私立高校に進学するケースが多い、
ということだろう。
中途半端な管理をされる都立高校よりも、
私立高校のほうがまだまし、と生徒や保護者が判断するからだろうか。
下位都立高校(偏差値45未満)
定員割れしている学校が多いが、
それなりに倍率が出ている都立高校もある。
このレベルだと、
「私立高校に進学したほうがいい」と一般的に言われているが、
どうなんだろうか。
都立高校の一番のデメリット
都立高校は、校長が数年で交替する。
昔は校長が替わっても、学校の雰囲気は大きくは変わらなかった。
それが今では、
まるで公立小学校・中学校と同じように、
校長が替わると学校の方針が180°変わってしまうのだ。
たとえば、
校長が替わって制服が義務化されたり、
服装検査をやるようになったりと、
校長の方針によってコロコロ変わる。
でも、3、4年で校長はいなくなる。
校長はいなくなったのに、
前の校長が変えた方針や校則はそのまま。
前の校長が変えたまま、
やりっぱなしで、
3年経つと、校長はどこかに行ってしまう。
だから校風が一定に保てない。
このことが、
都立高校の魅力を損なっている一番のデメリットだと、
高校見学に行って感じた。