東京都では2020年に私立高校の授業料無償化が本格的に導入されたこともあり(ただし条件あり)、私立高校に進学する生徒が増えたせいか、半分より下のレベルの都立高校の多くで倍率は低下傾向にある(もちろん例外あり)。
なかでも2022年入試では都立の工業高校の多くは定員割れしている。
中学校でも塾でも、成績が半分より下の生徒には私立高校の単願推薦がすすめられる。
中学校が確実に合格出来る高校を生徒に薦めるのは今も昔も同じだ。
でも今では塾も中学校と同じ方針なのだ。
その結果、成績が真ん中かそれより下の生徒は結構な割合で私立高校に単願推薦で進学することになる。
偏差値50以下の都立高校の多くで倍率が低下傾向なのはそのせいだろう。
昔は、最下位レベルの都立高校も5教科入試だったので、都立高校を受験する生徒は基本的に5教科の受験勉強をする必要があった。
成績下位の生徒は「高校受験が人生最後の受験勉強なんだから」と塾の先生から言われて、理科・社会を勉強して5教科入試を受けたものだった。
ひさしぶりに都立高校の入試問題を見て思ったのが、公立高校入試の国数英理社5教科の勉強(特に社会科)によって、社会に出たときの最低限の一般常識が身に付くということだ。
成績下位の生徒にとって5教科入試は負担が大きいとはいえ、それなりに意義があったはずだ。
それが今は、12月に内申が出れば単願推薦で私立高校の合格がほぼ確約されるから、その後はろくに勉強せずに形だけの推薦入試を受験し、試験の点数があまりとれなくても私立高校から合格をもらえる。
大学入試でいわゆるFラン大学に筆記試験なしで入れるようになって久しいが、
高校入試でもそれと同じようなことが起きているのだ。
子どもに負担が重すぎる受験勉強は害だと思うけれども、なんでもかんでも無試験でいいのか、と個人的には思う。