「公立中学の延長」みたいな都立高校

東京23区内で高倍率の都立高校は、2021年春の入試(女子・実質倍率)を例にとると、

三田 2.46倍
青山 2.20倍
上野 2.12倍
竹早 1.92倍
田園調布 1.91倍

という具合。

主に山手線内側にある、一部の上位~中上位の都立高校で約2倍かそれ以上の高倍率になっている。

上に挙げた都立高校はいずれも、昔から人気校であることは間違いない。

でも、都立高校全体の倍率は年々、徐々に低下しているし、他にも同レベルの都立高校が近くにあるのに、なぜ上に挙げた都立高校だけ高倍率なのか?不思議に思っていた。

それが、いくつかの都立高校を見学してみて、その理由がなんとなく分かってきた。

 

校風の違い

どうやら、東京23区内で上位校とよばれる都立高校の中に、体育会系(悪く言えば軍隊系)校風の高校がいくつかあることが、いろいろ調べてみて分かってきた。

 

体育会系都立高校

体育会系都立高校とはどこの高校を指すのかは、調べればすぐ分かると思うので、敢えて名前は出さない。「誹謗中傷だ」と言われるのは困るしね。

これらの体育会系都立高校は、わたしが高校生の頃はそこまで厳しい校風ではなかったと記憶している。どれも当時はどちらかというと「自由」と言われていた高校ばかりだ。

それが今は、これらの体育会系都立高校では、「生徒の自立性に任せる」とは言えない雰囲気で、進学実績向上のため大量の課題を生徒に課すだけでなく、行事や部活に力を入れることを信条としているらしい。

もちろん、厳しい課題をこなし、行事や部活で仲間と一体化する経験が何よりも代えがたい思い出になる生徒もたくさんいるだろう。

けれども、高校生になってまで勉強や行事、部活を強要されたくない生徒も多いはずだ。

大量の課題に追われて部活と行事への参加を強要されるならば、まるで公立中学の延長だ。

この手の体育会系都立高校に向くタイプの生徒もたくさんいるだろう。

たとえば運動が得意で、特に集団スポーツを好むタイプの生徒だ。こういうタイプの生徒にとって、体育会系の高校で経験する「集団で何かを成し遂げる達成感」はかけがえのない思い出になる。

 

内向的なタイプには不向き

けれども、内向的なタイプの生徒はこの手の体育会系都立高校には向かない。学術肌・研究肌・芸術肌の生徒も向かないだろう。また、大量の課題をこなすより自分のペースで勉強したいタイプの生徒も、この手の体育会系都立高校には向かない。

体育会系都立高校に向かないと判断した中学生が、体育会系都立高校を敬遠して、「自由な校風が売り」の都立高校への受験を希望する結果、上記の都立高校が高倍率になっているんじゃないか?と推測する。

上記の「高倍率人気校」はどれも「自由な校風が売り」なのだ。

逆に、多くの体育会系都立高校の倍率が減少傾向なのは、体育会系校風が向いていないと判断した生徒に敬遠されているからだろう。

「ウチの校風に合わないなら来てもらわなくて結構。他の学校に行け」という上から目線でいると、いつの間にか受験倍率は低下し、良い生徒が入学してこなくなるのは私学でも同じだ。都立高校に限った話ではない。

その点、中学受験で受験できる中高一貫校には、課題を一方的に押し付けるだけではない、アカデミックな雰囲気の学校がたくさんある。

中学受験というのは学校の選択肢が多くて羨ましい。次男は中学受験したほうがいいかも、なんて思い始めている。

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