都立高校・男女別定員に関する報道

このブログで何度も取り上げてきているように、
都立高校には男女別定員がある。

都立高入試、男女の合格ラインで最大243点差 8割で女子が高く

現在、公立高校の一般入試で男女別定員を設けているのは、
47都道府県のなかで東京都だけ

都立高校の男女別定員はジェンダー・フリーの流れの中で、
いずれ撤廃されることになるだろう。

 

数字に踊らされないで

ただ、都立高校の男女別定員に関する報道で、
数字が一人歩きしている感がある。

その点は有名なサイト「都立に入る!」でも、
「派手な数字に踊らされないでほしい」との指摘がある。

私も同感だ。

都立高校の入試制度を詳しく知らない一般の人が、
最近の都立高校の男女別定員に関する報道を見たら、

・現行の都立高校の入試制度は、女子をものすごく不利に取り扱っているひどい制度

ように感じるだろう。

 

男女の合格ライン243点差

けれども、
タイトルにある「男女の合格ラインが243点差」なんてことは、
男女ともに実質倍率が1.5倍とか2倍ある人気の都立高校では起こり得ない。

上記サイトにアップされた男女の合格ラインが243点差開いた例を調べてみると、
おそらく男子が定員割れしたけれど、
女子の倍率は1倍以上あった特殊なケースだ。

このケースでは、
女子の合格最低点(男女別定員緩和前)は606点とのことなので、
偏差値52前後の中堅校での出来事だと推測される。

定員割れしない中堅以上のレベルの都立高校で、
男女の合格ラインが200点以上開くなんてことはまず、ない。

都立高校を受験予定の女子生徒の皆さんは、
女子が不利なことをそれほど心配することはない。

 

上位校と下位校では様相が違う

合格最低点の男女差が大きいといっても、
上位校と下位校では様相が違う。

 

上位校

上位校では女子の倍率が高すぎ(おそらく2倍前後)、
以前ならば合格するレベルの女子が不合格になってしまっている。

とはいえ、
合格最低点の男子の点数もそれなりに高得点で、
「女子よりも不出来な男子」とは言い難い。

男女別定員はもっと緩和すべきだと思うが、
上位校に限って言えば、
女子が活躍する機会を担保するために本来すべきことは、
いくつかの都立高校が都立中高一貫校へと移行して減った分の定員をほかの都立高校で増やす
という措置ではなかろうか。

私学の力が強いらしい東京都ではなかなか難しいのかもしれないが。

 

下位校

一方、
下位校では男子のみ定員割れしていて低得点の男子が合格しているのが、
男女の合格最低点に大きな差が生じている原因だ。

 

男女の内申差の具体例

このブログで何度も取り上げていること。

「男女別定員がある都立高校のほぼすべてにおいて、
合格基準となる内申点は男子よりも女子が高い」

という事実がある。

偏差値・内申合格のめやす 東京都立高校入試 | 市進 受験情報ナビ

上のサイトによれば、
合格基準となる内申(換算内申)が、
女子が男子より「5」または「6」も高い都立高校も結構あることがわかる。

偏差値50-60の中堅~中上位校ではその傾向が強い。

内申(換算内申)が5違うと総合得点(1000点満点)で約23点の差、
6違うと約28点の差である。

男女別合格最低点の差は、
男女の内申点の差がかなり影響している
のではないだろうか。

都立に入る!でも書かれているように、
内申制度そのものが、生意気盛りの思春期の男子とって不利に出来ている。

 

東京都の高校受験「女子が受験可能な中上位校が少ない」

とはいえ「東京都の高校受験では女子が受けられる中上位校が少ない」のは確かだ。

わたしが中学生だった頃からすでにそうだった。

多くの私立高校が完全中高一貫校へと転換したため、
女子が受験可能な中上位校は昔よりさらに減っている。

男女別定員の緩和はすすめるべきだろう。

 

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