新学期が始まったと思ったら、もう5月。
新緑の季節だ。
外を歩いていると、若芽の匂いが漂ってくる。
植物が生き生きと成長していくように、子どもたちも生き生きと日々の生活を送ってほしいものだ。
さて、来春に就学を迎える保護者の方々は、就学先をどうするかについてそろそろ考え始めなければならない時期のはずだ。
今回は、我が家の長男が小学校就学前に就学相談の勧めをどうやって断ったか・中学校就学に向けた取り組みについて取り上げる。
来春に就学を迎える保護者の方々の参考になれば嬉しい。
小学校就学時
別の記事(療育センターと発達検査)にも書いたが、我が家は小学校就学時に就学相談を受けなかった。
その理由は以下の通りだ。
就学相談を受けなかった理由1:普通級への進学を決めていた
地域の中で育ってほしい
長男、当面は普通級での授業についていけるだろうと思っていた。
まず普通級で始めて、授業についていくのが難しいなら支援級に移ろうと思っていた。
長男にはできるだけ地域の小学校で地域の子どもたちと一緒に学校に通ってほしい・地域の中で育ってほしいのだ。
その思いは、別の記事(インクルーシブ教育に関する雑感)にも書いた。
就学予定の小学校には支援級がなかった
長男が就学予定の小学校には支援級がなかった。
だから長男が支援級に通う場合(通級)、支援級がある小学校まで保護者が送り迎えしなければならなかった。
当時わたしはフルタイムの仕事をしていたので、支援級への送り迎えは負担が大きかった。
それに、週1、2回たかだか1~2時間の通級授業の送り迎えに時間を割かれるのは効率的ではない。
通級に通うより家庭で補習をしたほうが効率的だと判断した。
なお、長男が小3の頃だったと思うが、東京都は各小学校に特別支援教室を設置する方針を出した。
これに伴い、長男が通う小学校にも特別支援教室が設置されたため、通級指導を受けるために別の小学校まで通う必要はなくなった。
民間の療育に通っていた
長男は現在も在籍する小学校内にある特別支援教室を利用していない。
長男は小さい頃に民間の機関でビジョントレーニングをして視機能を訓練した。
それに長男は塾で勉強をみてもらっているので、特別支援教室で勉強する必要がなかった。
そしてなにより、小6になってから週数回、普通の授業を抜け出してまで同じ校舎内の特別支援教室にわざわざ通うのは、長男自身にとっても周りの子どもたちにとっても違和感があった。
就学相談を受けなかった理由2:就学時健診での知能検査はクリアできそうだった
就学時健診で行う知能検査は4歳相当らしい。
そのレベルであれば、長男は就学時健診の知能検査をクリアできると思っていた。
実際、長男は就学時健診を問題なくクリアした。
就学相談を受けなかった理由3:療育センターから就学相談を強要されなかった
別の記事(療育センターと発達検査)に詳しく書いたが、療育センターから就学相談を強要されなかったことも大きい。
療育センターがこういうスタンスだったことに本当に感謝している。
保育園の対応
就学相談を暗にすすめられる
長男は通っていた保育園からは就学相談を暗にすすめられた。
具体的に言うと、「保育園の担任の先生が個人面談の際に発達早見表を提示してきた」のだ。
そして、言語・知能・運動・社会性などの各項目について「長男君は今の発達段階ではここまで」みたいに説明された。
つまり、保育園側は発達早見表を提示することで「発達が遅れている」と保護者側に実感させて就学相談へと誘導しようとした。
おそらく担任の独断で決めた行動ではない。
園長の指示があったのだろう。
けれども、発達早見表で遅れていた箇所は運動(微細運動)が主だったし、言語・知能・社会性の遅れはそれほどでもなかった。
それに、同じ発達早見表を私は所有していて発達段階をすでに確認していた。
だから発達早見表を提示されても驚くことは何もなく、就学相談を受ける気はおきなかった。
公立園のデメリットかも
長男が通っていた保育園は公立だった。
保育園が教育委員会や進学先の小学校と良い関係を保ちたいと考えれば、立場上、公立保育園側が就学相談をすすめてくるのは仕方ないと思った。
けれども実際に、保育園側が就学相談へと誘導してきたことについて正直、あまり良い気持ちはしなかった。
後日、保育園の園長先生から「小学校では先生の指示に従うのが当たり前だ。それができないのはダメだ。」みたいな、何が言いたいのかよく分からない嫌味を言われた。
おそらく園長先生は、長男の就学相談を受けないことについて小学校か教育委員会側から苦情を言われたのだろう。
公立園には満足していたけれど
わたしは公立保育園の教育内容についてはとても満足していたし、お役所のタテの圧力のせいで園長先生に嫌な思いをさせたことは申し訳ないと思った。
けれども就学相談を受けるのは「義務」ではない。
公立保育園の先生方には色々とお世話になったので今でも感謝している。
けれども、この発達早見表の件はわたしにとってとても残念な思い出だ。
療育センターの対応
通っている保育園から就学相談を暗にほのめかされたことを療育センターに相談すると「うち(療育センター)のスタンスは、就学先についてはお母さんの気持ちを最優先するということです」という言葉が返ってきた。
この言葉は本当に心強かった。
この言葉を聞いて、我が家は就学相談を受ける気持ちは一切なくなった。
そもそも、自分でも就学相談について調べていて、どうやら就学相談は義務ではない=就学相談を受けなければならないと法律で決まっている訳ではないと分かったので、義務ではないもの(就学相談)を受けるつもりはなかったのだ。
後日、ある小児科の先生に「小学校就学時の就学相談は、義務ではないので受けませんでした。」と言ったところ、その小児科の先生からは「なかなかそう決断できる人はいませんよ。珍しいですねえ。たいてい就学相談は義務だと思って就学相談を受ける方が大半ですよ。」と笑われてしまった。
わたしとしては「法律で決められていないことをする必要はない」という、ごく当たり前のことをしただけ。
けれども実際は、たくさんの人が就学相談を受けることを選択しているようだ。
中学校就学に向けて
長男、中学もそのまま地域の中学校(普通級)に通う予定だ。
実は昨年、就学先をどうするかについて長男が通う小学校から問い合わせがあった。
これに対して、普通級に進学するという本人・保護者の希望と、「就学相談を受けるつもりはない」旨を小学校側に伝えた。
別の記事でも書いたが、就学相談を受けて教育委員会から就学先の「判定」をもらってしまうと、判定内容が本人・保護者の意向と異なる場合に判定を覆すのに手間がかかるのだ。
就学先の「判定」は行政処分にあたるため、行政処分を覆すにはそれなりの労力を要する。
だから、就学先について本人・保護者の意向が明確である場合は「就学相談を受けない」という選択肢があることを心に留めておいてほしい。
この件については、たくさんの人が気にかけているとても大切な事項なので、また別の機会に詳しく書いていく予定である。
まとめ
個人的な体験からいうと、先はどうなるか分からないから、就学先を決めたらまずそこでやってみて、無理だと思ったらその都度、対応を考えるという心づもりで良いと思う。
どこに就学したとしても、担任の先生・校長先生いかんでやり方や教育方針が大きく変わる。
保護者は担任の先生や校長先生を選べない。
担任の先生や校長先生がいつ変わるかも分からない。
とりあえずやってみるしかない。