榊原洋一先生が「5歳児検診の導入がインクルーシブ教育に逆行するのではないか」という見解を示している。
榊原先生は「5歳児検診の導入がインクルーシブ教育の実現を阻む」と懸念されているのだ。
わたしは榊原先生の考えに同意する。
でも、正直言って、インクルーシブ教育を求める保護者はそんなに多くないと感じている。
インクルーシブ教育を望む保護者の割合は10年前よりも確実に減っている。
だからインクルーシブ教育の重要性を訴えても、残念ながら今の保護者の心には響かない。
保護者が支援級を選ぶのは、今の学校の仕組みが機能不全に陥っているのが、そもそもの原因である。
保護者は「普通学級には子どもを通わせられない」と思っているからこそ支援級を選ぶ。
今の学校の仕組みのままならば、保護者が進学先として支援級を選ぶのは致し方ないと私は思う。
「うちの子には手厚い支援をつけてほしい」という理由で支援級を望む保護者は10年前よりも確実に増えている。
共働き世帯が増え、忙しくて子どもに手と目をかけられない保護者が増えた。
保育所が普及して、子育てを他人に代行してもらう傾向は10年前よりも強まった。
地域の学童保育は定員一杯で入れなくても、放課後デイならば入所できる現実がある。
そして、発達障害の概念が世間に広まった結果、要支援の子どもを普通級に通わせようとすると「障害受容ができていない」とか「教育虐待だ」と批判されるご時世である。
だからこそ、支援級を増やすよりも、普通学級でのやりかたを変える時期にきている。
もうこれ以上支援級を増やそうとしても先生が足りない。
それならば普通学級の在り方を変えてほしい。
担任2人制でも学年担任制でもいい、今のやり方を変えた方がいい。
今の学校に我慢しているのは支援級に居る子どもたちだけじゃない。
普通学級に居る子どもたちだって我慢をしているのだ。
だからこんなに不登校の子供たちの数が増えているのだから。