保育園の加配枠について思うこと

それなりに大きな自治体ならば、認可保育所に「加配枠」というのがある。

加配枠というのは、
「ひとつの保育園に在籍している、普通より手がかかる子どもが在籍できる人数」
といえば適切だろうか。

加配枠の対象になる「普通よりも手がかかる子ども」は、発達に遅れがある子どもだけではない。外国籍で日本語が話せない子どもや、家庭環境等で精神的に落ち着かずサポートが必要な子どもも含まれる。

以前は「発達につまづきがあって手がかかる子どもは母親が家で養育すべき」という考え方が主流だった。

しかし、最近は、発達につまづきがある子どもも保育園に通うことができ、母親が働き続けながら子どもを育てる選択ができるようになった。嬉しいことだ。

 

加配枠の存在

おおっぴらに語られることは少ない

加配枠というのは、認可保育所の入園申込の際におおっぴらに語られることが少ない。

ただ、認可保育所の加配枠を明記している自治体も出始めた

入園申込みの際、子どもの発達について保護者が自治体に相談したような場合は、自治体から加配枠について保護者に話があるだろう。

けれども、我が家の長男の場合のように、発達の遅れに気づく前、乳児で認可保育所に入園するケースも多いだろう。つまり私は、加配枠のことを知らずに(加配枠を使わずに)保育園に入園した。

 

加配枠(保育所ごとに加配枠が決められている)

一般に加配枠は「ひとつの認可保育所に〇人まで」という形で自治体で決められている。

ひとつの保育園に加配枠が設けられている理由は、普通よりも手がかかる子どもの人数が多すぎると、手がかかる子どもに保育の手が取られてしまい、他の子どもへのサポートが薄くなるからだ。

他の子どもへのサポートが薄くなれば、当然、クラス全体に落ち着きがなくなり、結局、手がかかる子どもへのサポートも薄くなるから、加配枠が保育所ごとに決まっているのは良いことだと思う。

 

加配枠にまつわる問題

ただ、保育園の加配枠が公になってないせいか、長男が認可保育所に通っていたとき、加配枠についておや?と思うことも正直あった。

 

加配枠対象であることを保護者は知らない

我が家の長男がまさにこのケースだった。

転園をしようと自治体の窓口に行ったところ、長男が通っていた保育園で長男は加配枠扱いであることを知った。

子どもが加配枠対象であることを保護者に知らせない保育園は多いようだ。

加配枠をつけることは、保育園側の保育の問題だから保護者に知らせる義務はない、という理由からだ。

今思えば、長男は療育センターに通っていることを保育園側に伝えたので、加配枠がついても何ら不思議はなかったのだ。

長男が通っていた私立認可では、個人面談で療育に通っている話をしたとたんに「どこの施設に通っているのか・療育で何をしているのか」について担任保育士がしつこく聞き出そうとしてきた。個人面談ではいつもその話が出た。

 

加配枠対象であることを保護者に知らせない

今思えば、加配の申請をする際に、療育機関名や具体的な療育の内容が必要だったのだろう。

園長の指示で、園児の保護者から療育の話が出た場合、加配の申請をするために具体的に内容を聞き出すように、保育士に指示があったのだと思う。

普通より手がかかるから加配をつけることは当然だろう。

ただ「いっしょに育てていきましょう」という姿勢を園が保護者に見せる前から、保育士があからさまに加配申請目的の行動をとるのを目の当たりにするのは、あまり気持ちが良いものではなかった。

 

加配枠の闇

公立認可保育所の場合、加配が必要な子どもがいると判断されると、補助の先生がきちんと配置される。

けれども、我が家がある自治体では、私立認可保育所に対しては、加配枠がつくと〇〇円というように保育園に補助金が出て、しかも、補助金は要支援児のサポートという名目ならば使い道は制限されないと聞いた。

この話を聞いて、私は長男を公立認可に転園させることを決めた。

 

長男が通っていた私立認可園で一時期、日本語がまったく話せない外国籍の子どもや発達に遅れがある子どもが、立て続けに何人も入園してきたことがあった。

加配枠のこどもをたくさん受け入れれば補助金がもらえて経営は安定するからだ。

けれども、加配枠対応の子どもが立て続けに入園してくれば、現場の保育士の先生方が大変になる。

加配枠の闇をかいま見る経験をした「経営が苦しくなったら加配枠を受け入れて補助金を多くもらいたいのが経営者というものか」と諦観した。

私学はやっぱり「営利企業」なのだ。

「私立園を経営するのは大変だから仕方がないのよ」という声が聞こえてきそうだが。

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