高校受験「推し」の記事について思うこと

高校受験をすすめる記事を見つけた。

この記事は高校受験塾の講師によるものだから、どうしても高校受験「推し」である。

要約すると「少数精鋭の受験生同士が争うため競争が厳しい中学受験よりも、受験生の学力分布が幅広い高校受験のほうが、受験勉強の成果が出やすいし、今は都立高校からでもそこそこの大学に進学できる」という内容の記事である。

ただ、長男の高校受験を経験してみて私は「高校受験のほうがいい」と言い切れない。その理由は以下の2点である。

 

1.公立中学の不登校の多さ

公立中学では不登校が激増している。

不登校は内申に大きく響く。

都立高校受験では「不登校だったこと」自体で不利に扱われることはないが、不登校が原因で内申点が低くつけられた場合、都立高校への進学は不利になる(実力よりかなり下の都立高校を受験することになる)。

また、私立高校は基本的に、不登校・遅刻欠席が多い生徒は取りたがらない。

 

令和4年度の中学生の不登校の割合は6.0%だと公表されているが(令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(いじめ関連部分抜粋版))、実際はもっと多い。数値が過少報告されていると思う。

長男が公立中学に通っていた約1年前でも、1クラスに少なくとも3,4人の不登校生徒がいた。

中学生の不登校率は実際は10%超え、15%に達しているだろう。今や、中学生の10人に1人か2人が不登校なのである。

 

不登校になったとしても、今は高校余りだし通信制高校があるので、どこかの高校には必ず進学できる。

ただ、東京都の場合、不登校生徒の受け皿である単位制都立高校(新宿山吹など)の倍率がここ数年上昇していて、単位制都立高校に簡単に入学できなくなっている。都立高校のチャレンジスクール・エンカレッジスクールの倍率も上昇傾向である。

結果として、長男が通っていた公立中学では、不登校生徒の多くは私立の通信制高校に進学した。

 

中学生(中3)で不登校になると、高校の選択肢がぐっと狭まる(不登校:ネックは高校受験。「毎日学校に通ってクラスメートと一緒に授業を受ける」経験が高校で出来なくなる可能性が出てくる。

N高などの先進的な私立通信制高校もあるけれども、学費がべらぼうに高い。

 

都市部の場合、早生型の子は中学受験して難関中高一貫校に進学するため、公立中学に進学しないことが多い。早生型の子が高校受験を選択して公立中学に進学した場合、話が合う子が小学校時代と比べてグッと少なくなる。

心を許せる友人が公立中学で出来ないのはつらいことだ。不登校に繋がりかねないと思う。

都立トップ校は実際、晩稲型の優秀な子の受け皿として機能していると思う。

 

2.併願私立高校が少ない

併願校の豊富さについては、中学受験は圧倒的に高校受験に勝る。

男子の成績上位層向けの併願校はそれなりにあるが、女子の成績上位層向けの併願校がとても貧相だ。

こう言っては申し訳ないが、都立の受け皿になっている併願校の多くが、昔は学力レベルがあまり高くなかった元女子校・元男子校である。この手の高校は、学校としてのポリシーが確立していない学校が多いと感じる。合う生徒は合うが、合わない生徒は合わない。

都立高校の倍率が1.5~2倍なので、実際、1.5人~2人に1人は都立高校を不合格になる。

みんながみんな希望する都立高校に進学できるわけじゃない。

だから高校受験では併願校選びが大切なのだが、行きたいと思える併願私立校が少ない(私見)。

希望する都立高校に合格できればいいけれども、都立高校を不合格だった場合の進学先が限られるのが痛い。

 

私はどちらかというと高校受験「推し」派だけれども、諸手を挙げて高校受験に賛成することはできない。

都立高校受験で「内申点不問枠」が撤廃されたせいで、「不登校」という鬼門を乗り越えられなくなってしまったのが残念でならない。

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