先日、昭和・平成時代の出来事が起きた時にどう思ったかをこどもたちにきちんと伝えていくことが大切だと書いた(入試問題・社会科について思ったこと)。
それに関連して、2023年の東京都立高校の入試問題(社会)について思ったことをつぶやいてみたい。
以前も書いた通り、今年(2023年)に行われた都立入試の社会科(歴史)では、昭和時代から平成時代にかけて、東京都に本社を置く企業が開発した技術に関して出題された。
「東京都に本社を置く企業」というのが、ちょっとこじつけっぽい…。
出題された内容は、たとえば、
・計算機会社が、大規模集積回路を利用した電子式卓上計算機を開発した(1972年)
言うまでもなく前者の企業がソニー、後者の企業がカシオである。
ソニー製品の素晴らしさ
私の父親は当時、ソニーと仕事上で取引があったので、当時のソニー製品がいかに素晴らしかったか、子どもの頃から父親からよく聞かされた。
「電卓」というイノベーション
カシオの計算機についてはリアルタイムでよく覚えている。電子式卓上計算機はつまり「電卓」のことだ。
今では当たり前のように普及している「電卓」。
しかし発売当時、「電卓」というのはイノベーションだった。
当時、商店には計算機として業務用のレジスターは存在したけれども、業務用のレジスターは今のパソコンとは違い、いかにも「機械」という風情だった。家庭用計算機として当時はまだそろばんが主流だった。
それが電卓の登場により、電卓が爆発的に普及したおかげで、そろばんの影が薄れた。
子どもだった私にとっては、電卓は面白い遊び道具だった。
なぜなら、ボタンを押すと数字が出てきて面白いし、紙で計算しなくても、簡単に計算できるのだから。
今のスマホみたいな高機能デバイスに比べれば、電卓はアナログだけれども、当時のこどもたちにとっては十分に高機能なデバイスだった。
トランジスタラジオ・電子式卓上計算機・胃カメラ・デジタルカメラ…「技術開発における我が国の過去の栄光」として讃えるかのような都立高校の入試問題を見ると、少々せつない気分になる。