学校の医療化

長男が小学校に入学してから卒業するまで、学校について何が一番驚いたかというと、日本の学校現場で「ウィスク(WISC)」という言葉がこれほどまでに浸透しているのかということだ。

子どもが個性的な言動をするとたちまち、スクールカウンセラーと面談→発達検査(ウィスク)に持ち込もうとする。

学校はウィスク大好き。

今まで何度かこのやり取りがあり、最初は辟易していた。

けれども、今はもう「またか」と達観している。

学校の先生は立場上、フローに従ってそう対応することを求められているのだろうから、仕方がない。

ともかく、今の学校現場はとにかく子どもを医療につなげたがる。

原因を学校側ではなく子ども本人に見つけたがる。

いわば「学校が医療化している」のだ。

 

薬で飼い慣らされる子ども達

フランスのル・モンド誌が、ADHD治療薬(メチルフェニデート)がフランスでも蔓延しはじめていることを記事にしているのを見つけた(薬で飼い慣らされる子ども達)。

ル・モンド誌はこのような社会問題に本音で切り込んだ骨太の記事を掲載してくれるのが嬉しい。

 

 

上記記事によると、米国ではだいぶ以前からADHD治療薬(メチルフェニデート)を子どもに投与する治療が行われてきた。

一方で、フランスの医療界は以前は、米国ほどADHDの薬物治療に積極的ではなかったそうだ。

けれども、ここ数年はフランスでも米国と同様に、ADHDの子どもへの薬物治療を積極的に行うようになってきたそうだ。

米国ではオピオイドという薬の中毒患者の増加が大きな社会問題となっている。

それに加えて、メチルフェニデートも米国社会に蔓延している薬物のひとつである。

今では、メチルフェニデートは「スマートドラッグ」として学生の間に蔓延しているらしい。

つまりは、試験でよい成績をとるために試験前にメチルフェニデートを服用する一般の学生がふつうにいるそうだ。

一方、日本でも、個性的な言動をとる子どもに対して、学校はおろか幼稚園や保育園から服薬を勧められる風潮があると聞く。

 

「ちょっと待ってみる」ということ

わたしは、日本の社会が米国やフランスのように安易に薬物に頼るようになってほしくない。

薬物を使って子ども(人)の状態を無理やり変化させるのは西洋的なやり方だ。

「ちょっと待ってみる」・「見守る保育」のが日本の幼児教育・初等教育の特徴だったはずだ。

しかし、残念ながら、薬で無理やり状態を子どもを変えなければならないほど、今は学校現場に余裕がないのだろう。

けれども、子ども自身が現状を不快に思っていない、問題行動で周囲を巻き込んでいないのならば、
わたしはそのまま待ってみたい。

実際、待っていたら我が家の長男はだいぶ変わってきたのだから。

 

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