「幼児への投薬」~親子を追い込んでいないか

最近、忘れられない経験をした。

先日、近所のスーパー銭湯に行った。

3歳くらいの小さな女の子が母親といっしょに来ていた。

湯船に浸かっていると、親子の会話が聞こえてくる。

 

「お風呂をあがったら近くの〇〇公園に行こうか」

「ほかの人に迷惑をかけないで」

「お薬を飲んで落ち着こうか」

「ちゃんと目を見て話そう」

 

母親が子どもに優しく諭していた。

おそらく療育機関か何かで「こうやったらいい」というアドバイスを受けたのか、あるいは母親が自分で勉強してこどもへの対応方法を勉強したのだろう。

母親は女の子に対して穏やかに対応していて、叱責する様子はなかった。

母親が懸命に子育てしている様子が伝わってきた。

ただ、子どもの多動について普段から悩んでいる様子がうかがえた。

そして、3歳というこんな小さなうちから投薬されているのか、と思うと悲しくなった。

 

多動と言っても、その女の子はいくつもある浴槽を頻繁に出入りする程度で、母親ときちんと会話できる。

3歳で会話が成立しているのだから、その女の子は言葉がそれほど遅れているわけじゃない。

それに、浴槽にジャンプして飛び込んだり風呂場を走り回る男の子はよくいるけれども、その女の子はそういう突飛な行動はしていない。

 

母親が精神的に追い詰められているから、という理由で医師がこどもに投薬しているのかもしれない。

「ひとに迷惑をかけてはいけない」・「ひとに迷惑をかけてはいけない」と母親が何度も繰り返して女の子を諭していたのが気になった。

浴槽を頻繁に出入りする程度ならば、ぜんぜん、迷惑に当たらないのに。

 

最近、学校も園も、子どもの行動に対する許容度がひと昔前よりもだいぶ低くなっていると感じる。

学校でも園でも、担任が服薬をすすめる傾向があると聞く。

学校も園も人手不足である。

 

なかでも私立園の多くは慢性的な人手不足だから、手がかかる子がいると加配をつけたがる。加配枠の補助金を役所からもらうために、手がかかる子は親子で医療機関なり療育機関に通ってもらいたがる。

だからこそ、私は、手がかかる子には公立園をすすめている。私立園に比べると公立園では加配をスムーズにつけてもらえるから。

 

親子をあんまり追い詰めないでほしい。

親にとっても子どもにとって、小学校に入学する前の、小さくてかわいかった頃の楽しい思い出がたくさんあったほうがいい。

現在高校生の長男が子どもの頃はまだ「様子を見ましょう」で済んだ。

本当は、今も多くのケースでは「様子をみましょう」で足りるんじゃないのか。

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