保育園での文字の読み書き
長男が通った2つの保育園のどちらも文字を教える教育はしていなかった。
当時は、保育園で文字を教えないことについて不満を漏らす保護者は少なかった。
我が家の周辺はセレブな地区ではない。
そのせいか、今どきの保育園も小学校並みに文字の練習をさせるところは少ない。
とはいえ、家庭学習で文字の読み書きをしているせいか、園児はほぼ全員、就学前に文字の読み書きを習得していた。
保育園でわざわざ文字の読み書きを教えてもらう必要性を感じていない保護者が多かった。
実際子どもたちを見ていると、5歳くらいまでに文字に関する興味が出てきて、遅くとも年長時にはお手紙交換が流行る。
たいていの子どもは、文字の読み書きに対するレディネスが就学前に完成するように思える。
幼稚園や保育園で文字の読み書きを練習する必要はない、というのも頷ける。
幼稚園での文字の読み書き
ただ最近は、幼稚園できちんとした教育を受けたいという理由で、子どもを保育園から幼稚園に転園させる保護者もいる。
文字の読み書きを園で教えることをウリにしている園も結構ある。
幼稚園を選ぶ際の基準のひとつとして、文字の読み書きを教える園を選ぶという保護者もいる。
先取り学習の効果はいかに
私が子どもの頃(ウン十年前)から小学校の学習内容の先取り学習をウリにする幼稚園は存在した。
先取り学習をする幼稚園を卒園した子どもたちは、小学校低学年までは先取り学習のアドバンテージがある。
けれども、小学校低学年を過ぎると先取り学習の効果は薄れ、個人の能力で成績が決まっていくのが見ていて分かった。
文字の読み書きを指導しない園
次男の幼稚園探しで幼稚園をたくさん見学してみて、遊び中心で文字の読み書きの指導はしないという園が今でも半分くらいあることがわかった。
文字の読み書きはしないというポリシーの園では、文字の読み書きを指導しない理由について入園説明会でおんなじ説明があるから可笑しかった。
文字の読み書き指導をしない理由
文字の読み書き指導をしない理由は、
・理由1:文字を教え込むよりもまず文字に興味を持つことが大切
・理由2:卒園児は小学校に入ってからはじめて文字を習っても小学校で問題なくやっていけている
・理由3:小学校の授業は、子どもが小学校に入学してから文字をはじめて習う前提で行われる
理由1「文字を教え込むようりもまず文字に興味を持つことが大切」についてはその通りだと思う。異論はない。
ただ、理由2「卒園児は小学校に入ってからはじめて文字を習っても小学校で問題なくやっていけている」と、理由3「小学校の授業は、子どもが小学校に入学してから文字をはじめて習う前提で行われる」は本当かな?と思う。
幼稚園の先生は立場上、そういう風に言わざるを得ないのかもしれないが。
小学校に入学してから文字を習っても、小学校で問題なくやっていけるのか ?
おおかたの子どもたちは、小学校入学時点で文字の読み書きのレディネスが完成しているから、小学校に入学してから文字をはじめて習っても小学校で問題なくやっていけるのだ。
けれども、学習障害とまではいかなくても、文字の読み書きが苦手な子どもは結構な割合で存在する。
こどもが10人いれば、1人か2人は文字の読み書きの習得に時間がかかる子どもだ。
そういう場合、年長になっても文字への興味があまりわかないという兆候や、文字は読めるけれども書きたがらないという兆候はあると思うから、年長くらいから保護者が丁寧に見てあげたほうがいいかもしれない。
ちなみに、我が家の長男は最初から「文字は読めるけれども書字が苦手」なタイプだった。
小学校の授業は、 小学校に入ってからはじめて文字を習う前提で行われるのか?
建前上「小学校の授業は子どもが小学校に入学からはじめて文字を習う前提で行われる」ことになっている。
けれども、長男の経験からいうと、必ずしもそうとは言えないと断言できる。
今は、都内で教育熱心とまではいえない地域でも、小学校入学時にはほとんどの子どもが文字を書けるようになっている。
公文国語を習っている子では、就学前に小2小3(場合によっては小4以上)の内容まで先取りしている子どももざらにいる。
小1の子どもたちの大半は小学校入学時点で、担任の先生が文字の読み書きを丁寧に教えなくても済む状態になっているのだ。
国語が速いペースで進む小学校
そのせいか、国語の授業が早いペースで進んでいく小学校もある。
長男が通う小学校がそうだった。
小1の国語の授業では1学期にひらがなとカタカナ、2学期に漢字の学習が始まる。
小学校入学時にひらがなもカタカナも書けない子どもばかりなのであれば、本来は、ひらがなとカタカナの授業を丁寧に行わなければならない。
しかし実際は、夏休みが明けてすぐに漢字の学習が始まる。
こういうペースで学習が進むのは、文字の読み書きが苦手な子どもにはつらい状態だ。
実際、長男が小1のとき、2学期の冒頭(夏休み明け直後)、教科書で習ったことがない長い単元(10ページ以上)の音読がいきなり宿題として提示された。
どうやら夏休み明けの授業参観でその単元を取り上げるためだったらしい。
音読が苦手な長男は相当つらい思いをした。
なんだかんだ言っても実際は小1の段階で国語を丁寧に教えるというよりも、先取り学習している子どもたちのレベルに合わせた授業がなされていると実感した。
だから、子どもが文字への興味があるかどうかを見極めたうえで、子どもが文字にあまり興味を持たないと思ったら、文字を教えるべきか保護者が注意深く見守ったほうがよいと思う。
実際「小学校入学まで文字の読み書きを練習する必要はない」という幼稚園側の説明を信じて、読み書きの練習を何もせずに小学校入学した結果、小学校入学後に子どもが文字の読み書きに苦労したという話も何人かの保護者から聞いてきた。
国語が苦手なこども
学習障害とまではいえないけれど、国語が苦手な子どもは男子に多い。
小学校のときは国語が苦手でも、その後、中高で国語が伸びる子どももいる。
そう言う子どもにとっては、小学校入学時点から国語の授業をガンガン進められると本当に困る。
小1のしょっぱなから国語が大嫌いになってしまう。
小学校の先生をやるような人たちは、算数よりも国語が得意なタイプが多いと感じる。
だから、国語が苦手な子どもにどう対処したらよいか、実感がわかないのかもしれない。
小さいうちは国語が苦手なタイプもいるということを、小学校の先生方はもう少し理解してほしい。