高校受験の場合、昔は、特に地方では中学浪人という選択肢があった。
今はどうか分からないが、地方では高校の数がもともと少ない。
地方にそのまま留まって就職する場合、その地方では、大学よりもむしろ、どこの高校を卒業したかが評価の対象になる。
その地方で一番レベルが高い高校(旧制高校とか)に不合格だった場合は「中学浪人」して、高校入試の勉強をさらに1年間したのち、翌年にまた同じ高校を受験する人がいたと聞く。
今は東京で「中学浪人」する生徒はほとんどいない。
中学浪人しなくても、今は「通信制高校」という選択肢(受け皿)がある。
公立中学側は今も昔も、中学浪人だけはさせないよう、生徒をとりあえずどこかの高校に進学させることが最重要課題なのだ。
入学金の支払い
最近、私立高校について調べていて気になったのが「入学金の支払い」だ。
第1希望の私立高校に合格した場合は、合格後に入学金を支払って入学するだけである。
問題は、
「他の国立・私立・都立高校が第1希望で、滑り止めとして第2希望以下の私立高校を受験する場合」
である。
私立高校には「併願校の合格発表までは入学金の支払いを待ってくれる」高校と、「併願校の合格発表に関係なく、まず入学金を支払わなければならない」高校とがあるらしい。
東京都の私立高校の入学金はおおよそ30万円前後だ。
保護者としては、併願校の合格発表まで入学金の支払いを待ってくれる高校のほうがありがたいに決まっている。お金を払わなくても進学先を確保できるのだから。
「まず入学金を支払う必要がある」私立高校は有名進学校に多い。
「まず入学金を支払う必要がある」私立高校を受験して合格した場合、進学先を確保するために約30万円を払わなければならないのは、保護者としては痛手だ。
学納金返還訴訟
ところで、私が中学生だった頃は、私立高校の合格発表後に、入学金+授業料を支払わないと入学を取り消す私立高校も存在した。
具体的には、2006年以前は、入学を確約するために、併願校の合格発表前に入学金+授業料を支払わなければならない私立高校があった。
当時は、大学受験でも入学金+授業料を支払わないと入学を取り消す私立大学が多かった。
実際、進学先を確保するために、国立大学の発表前に、滑り止めで合格した私立大学に支払わなければならない「入学金+授業料の合計100万円以上」を親に支払ってもらった友人を知っている。
昔はそうやって私立大学を押さえるのが普通だった。
けれども、実際に入学しないにも関わらず、入学金+授業料という高額な費用が返還されないのはおかしいとして訴訟(学納金返還訴訟)が提起され、最高裁まで争われた結果、
・原則として、入学金については、学校側は返還する必要はない
・原則として、授業料については、学校側は返還する必要がある
という判断が2006年の最高裁判決で示された(旺文社ホームページに掲載された文部科学省の通知)。
この最高裁の判決を元に、現在、入学手続きの際に「入学金だけは納入する必要があるが、入学金は返還しない」という方針をとる私立高校がある。
今は昔みたいに授業料まで払わなくても、入学金さえ支払えば入学が確約されるようになったのはありがたい。
けれども、入学先を確保するために約30万円の入学金を払うのは、保護者としてはやっぱり痛い。