書名:神田橋條治の精神科診療室
著者:神田橋條治
出版年:2018年
出版社:IAP出版
ひとこと
本書は、鹿児島の精神科医である神田橋條治氏と、大阪の整体師である白柳直子氏との対談集である。
2011年出版の神田橋氏の著書「発達障害は治りますか?」は別の記事((書評)発達障害は治りますか?)でも取り上げた。
本書は対談形式なので読みやすい。対談の中に、神田橋氏の名言が散りばめられている。
好みにもよるが、神田橋氏の本は対談形式のほうが読みやすいと私は思う。
発達障害は医療機関で治療すべきだと思っている人には本書は向かないだろう。
一方で、発達障害を軽くするために家庭でできる体操みたいなものがあればやってみようかと思っている人には本書は向いている。
本書の内容
本書には、典型的な患者としてケース1~7が取り上げられている。
このケース1~7は実在する患者ではなく、発達障害・愛着障害・双極性障害・うつ病・依存症・統合失調症の患者を想定したモデルケースだそうだ。
神田橋氏いわく、発達障害とはいっても、実際は発達障害に愛着障害、双極性障害、うつ病などが併発している場合が多いそうである。
本書で取り上げられている7ケースのうち3つが発達障害に関するケースなので、本書のかなりの部分が発達障害について書かれている本と言えるかもしれない。
神田橋氏がどのような尺度で診察しているかが本書には書いてある。
でも、診察の仕方、たとえば「脳を見る」とかはやっぱり真似できないかも。
神田橋氏の診察は実際に診察室で見たほうが理解できるだろう。
診断の仕方は我々患者側にとって必要ないことだ。
けれども、神田橋氏がどのような観点で診断をしているかについて知ることは、発達凸凹の子どもを育てるうえで参考になる。
本書を読むと、神田橋氏のところには全国から患者が来ているのが分かる。
以前は鹿児島県内の患者が多かったが、最近では飛行機に乗ってくる患者も多いそうだ。
専門家の治療や助言が上手くいかず、救いを求めて神田橋氏の元を訪れる人が多いのだろう。
本書で気になった言葉
(注)神田橋氏は薬物治療を行っていない訳ではない。
本書を読む限り、神田橋氏は患者の症状に応じてストラテラ等を処方する場合があるようだ。
ただ、発達障害が疑われる患者に対して「化学物質だから薬を使うのはあまり好かん」とのコメントが本書にあるので、神田橋氏が発達障害の患者に対して薬物治療を行う場合は必要に応じて最低限の用量に留めているようだ。
(私見)
これはすごく理解できる言葉だ。
長年うちの長男(発達凸凹)への対応に慣れているとはいえ、
今まで我が家で対応してきた方法がいつも適切だったとは到底思えない。
本人が周りについていこうとするができなくて、それが心の傷になってフラッシュバックする。
(私見)
これもすごく理解できる。
うちの長男は突然ギャーギャー言わない。けれども、何かの刺激に対して過剰にギャーギャー反応する傾向がある。おそらくフラッシュバックなのだろう。
(私見)
私もそう思う。私も子どもの頃の記憶として、おんぶされていたときに使っていたねんねこのぬくもりや匂いの心地よさを覚えている。うちの長男はおんぶする前におんぶ紐を卒業してしまったが。
(私見)
本書の中で名言の一つ。
愛着障害を持っている女性はこういうふうに言ってもらうと心が軽くなると思う。
女性は母親として子どもを育てることで愛着障害が軽くなるということは、子どもが母親を育ててくれるということだ。
対応策
本書の巻末には、神田橋氏が開発した、フラッシュバック等に効く気功のやり方がいくつか掲載されている。本書はこれがお値打ちだ。
図解入りで説明があるので分かりやすいと思う。
本書に掲載されている神田橋氏が開発した気功は<五本ゆびいい子><地球におんぶ><コアラの気功><焼酎風呂>。
フラッシュバックや愛着障害を軽くするための気功だ。
実際に効くかどうかやってみないと分からないが、家庭でやる分にはタダだから。
我が家は<五本ゆびいい子>と<焼酎風呂>を試し始めた。
本書で掲載されている気功は家庭でも簡単にできるものだ。
それに、焼酎風呂に使う焼酎の費用以外はお金がかからないので、続けてみようと思う。
続けてみて効果があったら、また記事にする予定だ。