今日のテーマは「発達支援」。
とは言っても、発達支援を利用してみた感想ではない。
「発達支援」という事業そのものについての感想である。
ちょっと重いテーマだ。
今回は、我が家の体験談を交えて「発達支援」について私が思っていることを書こうと思う。
児童発達支援
児童発達支援と放課後デイサービスは2012年4月に始まった制度である。
つまり、うちの長男が5歳になる年に児童発達支援&放課後デイサービスという制度が始まった。
念のため説明しておくと、児童発達支援は就学前、放課後デイサービスは就学後にそれぞれ利用する施設である。
現在、児童発達支援を利用している人はかなり多い。
しかし、我が家の長男は今まで児童発達支援を利用したことはない。
長男が小学校に入学する前後に「児童発達支援」の制度が始まったので、長男の世代では児童発達支援を受ける機会がなかった子どもは結構多い。
そう考えると長男は児童発達支援を利用しなかった「最後の世代」なのかもしれない。
自費療育の思い出
児童発達支援という制度が始まる前は、自治体が運営する療育機関以外に通う場合、自費で療育を受けるしかなかった。
すっかり忘れていたが、そういえば、2~3歳の頃、長男を連れて色々な療育施設を見に行った。
公的な療育機関を除けば、プライベートな療育機関を10か所くらい見に行った。
見学した中には、ここには書けないようなものすごく怪しい施設がいくつもあった。
今思えば懐かしい。
そんな中で、長男は当時、2~3か月に1回の頻度で個人の専門家に見てもらい、アドバイスを受けていた。
もう6年以上前の話なので良く覚えていないが、指導料はそれなりに高額だった。
とはいえ、巷の民間の療育機関と同程度の費用だったと記憶している。
児童発達支援と放課後デイサービスが一般的になった今でも、自費療育をしてくれる機関はあるが、以前と比べて評判はどうなのだろうか?
児童発達支援施設の所長の言葉
長男がたしか6歳になる頃、
指導を受けていた専門家が所属する機関が児童発達支援を始めることになった。
当時は児童発達支援という制度が始まったばかりだった。
だから児童発達支援というのがあると聞かされても私は「児童発達支援?何それ?」という感じだった。
ただ、その専門家が所属する機関のトップの人(児童発達支援施設の所長)から児童発達支援について説明を受けたときに、なんともいえない「モヤモヤ感」を感じたのだ。
そこの児童発達支援施設の所長は、次のようなことを言っていた。
念のため言っておくが、この児童発達支援施設の所長は、お金を稼ぐ目的で児童発達支援の施設を運営している人ではない。
この児童発達支援施設の所長はむしろ、質の高い専門家に来てもらい、良質な児童発達支援サービスを提供しようとしている人である。
でも、私はこの児童発達支援施設の所長の話を聞いて、福祉分野の人たちの基本的な姿勢を実感し、正直かなりガッカリした。
この所長がお金儲け目的ではないのは明らかだった。
詳しいことは分からないけれど、この所長のご家族が障害者だったことがきっかけでこの施設を始めたと聞いていたから。
けれども私は今まで「補助金」とは縁遠い職業に就いてきたので、福祉分野の人たちの意識が自分とだいぶ違うことに驚いた。
この話を聞いたことがきっかけで、この施設での療育に通うのを止めた。
おそらく、この児童発達支援施設に通いたい子どもが自治体から受給者証をもらって発達支援を受ければ、この児童発達支援施設には補助金が自治体から入る。
言葉は悪いが、福祉分野の人たちの「補助金にすがる(頼る)」姿勢というのに、なんだかとてもガッカリしたのだ。
「そういうものだ」と言われればそれまでだが。
それに、利用者のためというよりも、施設運営維持のために受給者証をもらってこいと言われているような気がした。
加えて、長男のように支援がそれほど必要でない人たちまで補助金(つまり税金)を使って発達支援を受ける必要があるのだろうか?と思った。
誰のための発達支援施設?
その後、児童発達支援や放課後デイサービスなどの発達支援施設は雨後のタケノコのごとく増えていった。
しかし、当初は「発達支援」がメインであった発達支援施設も、いつの間にか「発達障害者の居場所づくり」等の事業が増えているようだ。
発達支援施設が「利用者のための施設」というより、「施設で働く人(支援者)たちの就労の場の確保」のようになっているのが気になる。
保護者である私にとっては「発達支援施設を卒業すること」がゴールだと思っている。
けれども、発達支援施設で働く人にとっては、発達障害者はいわば「食い扶持」で、「発達障害者はいつまでも発達支援施設を利用し続けて欲しい」と思っているように感じる。
だから、発達支援施設で働いている方々には大変申し訳ないけれども、我が家は発達支援施設とはできるだけ関わらないことに決めた。