2010年代、待機児童を解消するためにたくさんの保育園が作られた。
当時、都市部で作られた急ごしらえの保育園の多くが、園庭をもたない保育園だった。
都市部では今も、ビルの一室に保育園が設置されていることが多い。
ところが、2010年代に大騒ぎしていた待機児童や保活は少子化が進み、どこかに消えてふっとんでしまった。
今や保活・待機児童なんてまったく話題にならない。
待機児童であんなに大騒ぎしていたのは、何だったんだ?
今は、こだわらなければどこかの保育園に入れる時代だ。
けれども、当時設立された「園庭がない保育園」の多くが今もそのまま残っている。
大きなビルの中にある保育園の中にはセキュリティ上「窓が開かない」しくみになっている保育園も多い。
そういう構造の保育園では、こどもたちは外の空気を味わえない。
たまに居るだけならばそれほど気にならないけれど、毎日窓なしの環境で過ごすのはこどもにとって息が詰まるだろうな、と思う。
だから先生方が毎日工夫して、こどもたちを1日に何回も外に散歩に連れ出す。
けれども、こどもたちは保育園に居る間は外の空気を吸えないし、お日様の光を浴びることができないのだ。
「2010年以前の保育園では、園庭そして日当たりの良いベランダやテラスがあるのが当たり前だった」ことを思い出してほしい。
たとえば…0歳児1歳児クラスの乳児さんは外を駆け回るのがまだ難しくても、園庭にあるお砂場で遊べたし、日当たりが良いベランダで遊んだり、風と光を感じられるお部屋でお昼寝することができた。
窓から光も風も入らない人工的な空間で過ごす時間が長いと、ヒトの動物としての勘が鈍る。
特に、大人よりも感覚が鋭敏なこどもたちはイライラしやすくなる。
「保育園は園庭とベランダが当たり前」という意識を取り戻したほうがいい。
こども家庭庁さん、園庭なし保育園で過ごすこどもたちの環境を見直してあげてくださいな。
「園庭があるほうがこどもたちの発達に良い」ことを示すデータがない、みたいな反論が出るだろう。けれども、園庭の有無のどちらがこどもたちが心地よく過ごせるかなんて、データ以前の問題でしょ。
長男は、待機児童問題が勃発する前に保育園に入園した。
そのせいもあって、長男は、風通しが良い昔ながらの園舎・思い切り体を動かせる園庭・日当たりの良いベランダ・テラスがある保育園で過ごすことができた。
今となっては、このことに本当に感謝している。
ヒトがぐっすり睡眠するには、お日様の光を浴びることはとても重要だ(セレトニン分泌が促進される)。
しかも長男は保育園にいる間、思う存分、水遊びをさせてもらった。
園庭備え付けのプールがあったので、夏は、毎日のようにプールに入れてもらった(プールに入るとぐっすりお昼寝してくれると先生方が話していたので、こどもたちのためだけにプールをやっていたわけではないかも)。
保育園に通っていた頃、毎年、長男は6月から9月までのおよそ3カ月間、思う存分、水遊びをさせてもらえたのは今となっては本当に貴重な経験だ。
今、都市部では、園庭に備え付けのプールがある園はかなり少なくなっている。
豊かな環境の保育園で過ごせた長男は、高校生になっても水泳の授業を楽しみにするほど泳ぐのが好きだし、アウトドア好きになった。
長男が最初に入った私立保育園は若い先生ばかりで、人の出入りが激しい時期もあった。
それでも、長男が小さい頃、風と光を常に感じられる保育園で過ごせたことは貴重だったと思う。
素直に感謝いたします。
園庭がなく、水道代が高騰している今、水遊びが十分にできない保育園も多いはず。
園庭がなく、光も風も差し込まない保育園で過ごしているこどもたちの環境にもっと目を向けてほしい。
動物的勘が鋭い子ならばなおさら、人工的な環境で過ごすとストレスがたまるのよ。
保育園では思いっきり、光と風を感じて、五感を使う生活をさせてあげたほうがいい。