発達障害:保護者を過剰に心配させないでほしい

ここ最近、縁あっていろいろな保育園に行く機会がある。

守秘義務があるので詳しくは書かないが、発達障害についての意識は園によってかなり違う。

 

個人的には、発達に課題がある子を多く預かる公立園の先生方は発達障害の基本的知識について勉強されていると感じる。職務上、研修などで発達障害を学習しているからだ。

一方で、8割がたの私立保育園は公立園ほど発達障害について取り組んでいないと感じる。

私立保育園を批判しているのではない。発達に「大きな」心配がある子は私立保育園にそれほど多くは在籍していない。私立保育園の先生方は発達障害について深掘りして学ぶ必要性がない、ただそれだけだ。

 

ところが最近は、発達障害への取り組みを売りにする私立保育園も出始めている。

でも、その手の園では、発達障害児によく見られる行動が少しでも見られると、療育や医療につなげようとするんじゃないか、と心配になった。

 

そんな一例をあげよう。まずは「感覚過敏」である。

感覚過敏といっても、ベタベタしたものに触るのを嫌がる1歳児2歳児は多い。

発達障害に詳しい園では「ベタベタしたものが苦手=感覚過敏がある」という目で子どもを見てしまう。

 

でも、ざっくり言うと、小さなこどもが10人いれば少なくとも2、3人はベタベタ系が苦手だ。

ベタベタしたものが苦手=感覚過敏、とは言い切れない。

こどもを観察していると、小さな子は手先が不器用なので、ベタベタしたものが手についた場合、自分の手指でベタベタしたものを上手く取れずにイライラして怒っていたりすることがある。

 

うちの長男も昔はベタベタ系が苦手で離乳食も決して手づかみでは食べなかった。でも、今となっては、長男は感覚過敏というよりも、不器用ゆえに手についたベタベタを自分で上手く取れないのが嫌だったのかも、と思う。

軽い感覚過敏ならば成長とともに軽快していく。

現に、長男は今はベタベタ系は平気だ。

 

別の一例も挙げる。「水へのこだわり」である。

発達障害児の中には水に異常なこだわりを持つ子がいる。こだわりの程度としては、放っておくと1日中、お風呂で遊んでいるような、子だ。

そこまでではなくても、水に触れるときの感覚が心地よいと感じる子は発達障害児だけではない。

 

園生活では食事の前に手を洗う。

手洗いの時に水に触れた時の感触が心地よくて、水を流し続けて水に触れていたい子もいる。

ところが、たかが5分の間、手洗いの場から離れないだけで「水へのこだわりがある」と判断されてしまう。1時間2時間と水遊びしているわけではないのに。

 

さらに別の一例をあげる。「クレーン現象」である。

クレーン現象とは、自閉症のこどもが、自分が取ってほしいものを他人の手を使ってとらせる行為である。

保育園で会った2歳児は、私の手を引っ張って自分の興味があるおもちゃが置いてある場所まで誘導した。

この行動を「クレーン現象」だと園は判断していたようだが、言葉で自分の想いを上手く伝えるのが難しいからわたしの手をとって誘導しただけだとわたしは感じた。この2歳児の行動がクレーン現象だとはわたしには思えなかった。

 

また、さらに別の一例をあげよう。「くるくる回る」行動である。

これも発達障害児によくみられるが、発達障害児でなくても、くるくる回った後の感覚が面白くてくるくる回る子もいるし、発達障害でもくるくる回らない子もいる。

現に、わたしも発達障害児でなかったけれど、くるくる回った後に目が回る感覚が面白いから、小さい頃はくるくる回る遊びをよくしていた。

一方で、長男は発達障害系だけれども、小さい頃からくるくる回る遊びをしたことはない。

 

とどめは、魔の2歳児のわがまま=「気持ちの切り替えが苦手」とみなされてしまうこと。

2歳児がわがまま言うのは当たり前だろ~。

保育園で言うことを聞かない子は「気持ちの切り替えが苦手」=発達障害グレーゾーン=扱いにくい子、とみなされるおそれがある。

 

「ベタベタが嫌い」で「水が好き」「くるくる回って」「クレーン現象がある」「言うことを聞かない」2歳児が発達障害疑いとみなされていたケースを目撃した。

でも、その2歳児と実際にやりとりしてみると、色の概念も理解できているし、言葉で他人と意思疎通出来るし、他人と「楽しい」という気持ちを共有できているし、他人の顔色をきちんと伺って会話するし行動している。

 

この2歳児の子を見ていて「この程度で発達障害疑い(グレーゾーン)にされるのか」と思うと、正直、やり切れない。

この2歳児の子は、わたしから見ると、多少気分屋の幼児にしか見えない。

 

以上、榊原洋一先生がブログでおっしゃっていた「発達障害の過剰対応」が現場(園)で実際あるんだな、と思った。

 

発達障害(グレーゾーン)疑いにして保護者を過剰に心配させるのはホント、良くない。

こどもが小さい頃は発達障害なんてどうでもよくて「可愛い可愛い」でいいんだよ。長男が高校生になった今となっては心底そう思う。

 

保育園に早くから預けるようになった頃からこの手の問題が増えているような気がする。

小さいうちは家庭で育っていれば自由気ままに過ごせたのに、小さい頃から保育園に預けるからこそグレーゾーンという概念が増えてきたんじゃないか。

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