直近10年で療育業界で普及したもののひとつがリトミックだろう。
以前はリトミックといえば保育園幼稚園での活動が主だった。けれども、直近5年ほどの間に、リトミックをやる放課後デイが急速に増えた。
リトミックは今や「発達が気になる子の療育の定番」になりつつある。
およそ15年前から長男をリトミックに通わせていた私からすると、当時はまだリトミックが世間に認知されていなかったので、リトミックが療育の定番になっている現在の状況に驚きを禁じ得ない。当時は放課後デイがなかったので、長男は巷のリトミック教室に通っていた。
学習障害のひとつ、読み書き障害(ディスレクシア)の人は、音楽的なリズム感も良くない可能性が高いという研究結果が出たとのこと。
読み書き障害「ディスレクシア」とリズム感に共通する遺伝的パターンを発見
読み書き障害だった(努力して今は克服したので過去形にする)長男を見続けた私からすると、上の記事は半分合っていて半分正しくないと思う。「学習障害の人=リズム感が悪い」と言い切れるのかは、さらなる調査研究が必要だと思う。
なぜなら、リトミックを長年続けた長男はリズム感自体は悪くないからだ。
もっと言うと、リトミックを始める前から長男はリズム感自体は割と良くて、音楽に合わせて即興で太鼓をたたく、みたいなのは得意だった。
今、長男が弾くピアノの曲を聴いていて、リズム感の悪さは感じない。
けれども、今でもそうだが、書字障害だった長男は「リズムと言葉を結びつけるのが苦手」だ。
長男は今でも促音(スコップ、きって、ラケット)が苦手。
長男は今でも、たとえば「ラケット→ラッケト」・「スコップ→スッコプ」みたいに間違えることがある。
実は小2次男もそうだ。次男は文章をきちんと書けるタイプなのだけれども、この促音だけは苦手だ。
促音は詰まる音といわれ、基本は何も発音せず、一拍分休止する。
たとえば「きって」は「き」・「休止」・「て」というふうに。
リトミックのレッスンを見学していると「小さい子は促音を理解するまでに時間がかかるんだな」と感じる。
促音の小さい「っ」のところで一拍休止するときに「脱力」するのだが、小さい子や学習障害の子どもは小さい「っ」のところでうまく脱力することができない。
それでも成長するにしたがって、促音のところで「一拍休止する」リズムが理解できるようになっていく。
「リズム感と言語はどのように結び付ついているのか」は実に奥が深く興味深いテーマだ。