私立高校の無償化が議論されている。
おそらく、私立高校の無償化が近いうちに正式決定するのだろう。
地方では地域内に2,3校しか高校がなくて、公立高校に入れない場合は私立高校への進学を余儀なくされるケースもあるだろう。
そういう地域では私立高校無償化は有難いことだと思う。
ところが東京都では事情が異なる。
都立高校への受験は推薦・一般入試と2回ある。
もっと言うと、定員割れした都立高校の受験はさらにもう1回2回とチャンスがある。
どうしても都立高校にこだわるならば、複数回、都立高校を受験できる仕組みになっている。
定員割れしている都立高校も多い。つまり、学校を選ばなければ、どこかの都立高校には入学出来るようになっている。
私が住む都内の街では、私立高校への進学が経済的に厳しい家庭はかなり高い確率で、都立高校への進学を希望する。
わが家も然りである。
「都立高校しか受験しない」生徒も少なからず存在する。
両親共働きで一方または両方が非正規で真面目に働いているケースでは、最初から私立高校を併願して受験しないで都立高校だけを受験するのが普通だ。
私立高校の授業料無償化といっても、学費や学用品がすべて無償になるわけではない。
なんだかんだ言って都立高校に入学するほうが圧倒的に安上がりだからだ。
スポーツや音楽など特別な才能の持ち主は特待生として授業料免除という形で私立高校へ進学する場合もある。けれども、それほど多くない。
となると、少なくとも都市部では、私立高校無償化の恩恵を受けるのは貧困層よりも、私立中高一貫校や私大付属校に子どもを通わせている中流以上の層が中心である。
もちろん、子ども2人を中学受験させて中高一貫校に通わせるとなると、学費・塾代が相当にかかり、ゆとりがないのはよく分かるから、私立高校無償化による恩恵があるのだろうが…それでも、私立高校無償化はちょっと違う気がするのだ。
なぜなら、私立高校無償化は「稼ぎは少ないけれども真面目に働いている世帯の生活を楽にするものじゃない」から。
待機児童対策しかり、ここ20年ほどの間、少子化対策を謳う施策の多くは、中流以上の層が恩恵を受けるものが多い。
今回の私立高校無償化のように、タテマエでは「子育て世帯の経済的負担を軽減する」といいつつ、実際には、経済的負担が軽減される世帯は中流以上の層が中心だったりする。なぜなら、上述したように、経済的に苦しい世帯は最初から私立高校を選択しないから。
そして、私立高校無償化の真の目的は私学の経営救済だったりする。
なんだかなあ。
「私立高校無償化で、不登校経験者が多く通う通信制高校が無償になるのは有難い」という識者の見解を読んだ。
確かにその通りだと思う。
ただ「不登校経験者が通える通信制・単位制の都立高校が不足している」という現状がある。
不登校対策を私立の通信制高校に頼るよりも、定員割れしている定時制・工業系の都立高校を思い切って、不登校経験者が通いやすい定時制・単位制高校に変換してもよいと思う。