部活信仰は勘弁してほしい

長男が公立中学に入学して感じたのは「運動部に入っている生徒=学校カースト上位」という雰囲気が学校内に漂っていることだ。

私が中学生だった時よりずっと、今は部活(特に運動部)信仰が強いと感じる。

 

今も昔も運動部の生徒が学校カースト上位にいるのは同じだ。

けれども、昔は、運動部だからと言って学校内の地位が露骨に高い、ということはなかった。

 

「部活信仰」-私が公立中学が苦手な理由のひとつだ。

長男が通った公立中学で運動部アゲだったのは、体育教師と、体育教師でなくとも部活に熱心な教員だった。

若い教員も体育教師のコバンザメのように「運動部の生徒アゲ」の発言をしていた。保護者会で教師がそんな発言をするのを聞いてウンザリした。

帰宅部の長男は、公立中学ではカースト最下位層だったに違いない。

 

部活信仰は公立中学だけではない。

高校でも中学と同じように、部活信仰は不気味なほど根強い(都立高校の学校説明会でいちばん驚いたこと)。

 

ある都立高校の学校説明会で校長が「部活から帰ってきた後は疲れて眠らないよう、部活から帰宅した後は制服を着たまま宿題をやれ」と言ったのが忘れられない。

その話を聞いて正直「なぜそこまでして部活をやらなければいけないの?学業に支障があるほど部活動が疲れるのならば、部活をやめればいいのに」と思った。

 

驚くことに、運動部に入っている中学生の約5割、高校生の約4割が「週5日」部活動をしているという調査結果が出ている。

出典:子ども・青少年のスポーツライフ・データ 2023 中高生の健康・活動ニーズから考える運動部活動の地域移行/メンタルヘルスなど(資料:笹川スポーツ財団「12~21歳のスポーツライフに関する調査」2023(P.44【表D-1】より一部抜粋))

 

「週5回の部活動」ということは、つまり「授業がある日はほぼ毎日、部活がある」ということ。

 

部活動を通して一生の友人に出会えることもあるし、部活動で継続的に体を動かすことで体力がつくし、若い頃の運動経験が将来の健康を支えてくれるのは間違いない。

でも、スポーツをした誰もが大谷翔平みたいなトップ・プロスポーツ選手になれるわけじゃない。週5回も部活動をする必要があるのか?

スポーツを楽しみたいならば、活動日はせいぜい週2,3日が妥当だろう。それ以上練習したい生徒だけ自主練すればいい。

 

部活動を歓迎しているのは教師だけでない。

保護者も部活動を託児所がわりにしている。だから部活動は保護者から歓迎される。

部活動の時間はスマホやゲーム漬けにならないから部活動は有難い、と思う保護者も少なくないはずだ。確かにそうかもしれない。

 

ここ30年間で知らぬ間に部活信仰(特に運動部)が学校教育に深く浸透した。

その結果、部活動で体罰やいじめによる深刻な事故が起きるようになった。

部活動は義務教育でなく、あくまでも任意の課外活動なのに、部活動で体罰やいじめの問題が頻繁に起き、その対応に追われるのはやってられないと行政は思ったのだろう。

公立中学で部活動の民間委託が決まったのは当然と言えば当然だろう。

 

「中学校は運動部の部活動に熱心な教師が多かった」と先日、長男が教えてくれた。

公立中学と言う場所が、教えることそっちのけで部活に熱をいれている教師ばかりならば、次男はやっぱり公立中学に進学しないほうがいいかも、と思ってしまう。

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました