現在高2の長男が中1の頃から少しずつ、いろいろな高校を見学してきた。
普通科の高校だけでなく、工業高校・農業高校・単位制高校・定時制高校なども見学した。
「それぞれの高校にはそれぞれ良さがある」-そう実感した。
いろいろな高校を長男といっしょに見学した経験は、次男の学校選びにもばっちり活せる。
長男と見学した中でも印象に残っているのが都立高校の「チャレンジスクール」である。
都立高校には、入学選考で「内申をいっさい見ない」高校がある。
一般にチャレンジスクールと呼ばれている高校である。
チャレンジスクールの入試では内申点をいっさい見ないし、学科試験がない。その代わり、入試に作文等を課す。
入試で内申点をいっさい考慮しない選抜方法は、不登校で内申がつかない生徒・内申点が低くおさえられる生徒には有難い。
一方で、入試で内申点が考慮されないのは、3年間がんばって通学した努力が入試に反映されないともいえる。毎日学校に通っている子どもにとっては努力が報われない学校ともいえる。
長男が見学したチャレンジスクールは、もとは都立の商業高校だった高校である。
「自分がとりたい授業を選んでとれる」ところに魅力を感じて、このチャレンジスクールを見学することにした。
チャレンジスクールといっても、学校設備は普通科の都立高校となんら変わらない。
教室数も多く、プールや体育館、校庭もきちんと完備されている。部活動もたくさん行われている。
チャレンジスクールが普通科高校と違うのは、単位制なので、「自分が選択する科目の授業に出ればよい」という点だ。
都立の定時制単位制高校といっても、方針は学校ごとに違う。
以前とりあげた新宿山吹高校のように、科目選択は生徒の自主性に委ねられる学校もある((高校見学記)都立新宿山吹高校)(注:新宿山吹高校はチャレンジスクールと違い、入試に学力試験を課す)。一方、普通科高校のようにクラス単位での活動がある高校もある。
長男と見学したチャレンジスクールは、クラス単位での活動をわりと重視している高校だった。
長男が見学したチャレンジスクールの廊下の壁には、生徒たちの作文が貼られていた。
廊下に貼られた作文には8割がた「以前は不登校だったが、この高校に入学してからは通えるようになった」という話が書いてあった。
このチャレンジスクールに通う8割くらいの生徒は不登校経験者なのだろう。
「世の中にはこんなにも『学校に行けない』生徒がいるんだな」と思うと、悲しくなった。
それなのに、不登校状態にあるこどもたちの数は増加する一方である。
そのせいだろう、ここ数年、都立チャレンジスクールの倍率はどこも高止まりだ。
チャレンジスクールを受験しても、全員が入学できるわけじゃない。
学校に行けない生徒たちのために、チャレンジスクールをもっと増やしてほしい、と思う。
単位制に魅力を感じてこのチャレンジスクールを見学してみたものの、長男は不登校を経験したことがないので、この高校では逆に浮いてしまうだろうと思った。
そして、このチャレンジスクールは入学試験で作文を課すので、作文が苦手な長男には不利だと思った。
結果として、長男は別の都立高校を受験して合格したのだった。