受験の季節がやってくると必ず登場する話題といえば、
それは「受験勉強のために学校を休ませるか」ということ。
受験勉強中はおおむね元気な受験生だった長男。
それでも受験直前、中学校からの「受験は団体戦」という圧力に苦しめられた。
いや、長男自身は苦しめられたと思っていない。
苦しめられたのは私たち家族だ。
中学校生活の最後の最後まで「公立中学のスタンス」について考えさせられた。
学校関係者の常套句
そういえば、長男が小学生のとき、中学受験する子どもたちに向けて「受験前に学校を休まない子のほうが志望校に合格しやすい」と、校長と担任が話していたのを思い出した。
我が家の長男は中学受験しなかったから関係ない話だったが、聞いていてあまり気分が良い話ではなかった。
そのときは、「中学受験するこどもが学校を休もうが休まないが、別にどっちでもいいじゃん」と思って聞いていた。
けれども、中学生ほぼ全員が経験する高校受験ではまた別の話だ。
長男が通う公立中学のスタンス
長男が通う公立中学では、中3生に対して「受験は団体戦」・「受験直前まで毎日登校することが大切だ」と言い続けていた。
そのおかげだろうか、受験直前になっても学校を休む生徒は、不登校の生徒を除いてほとんど居なかったそうだ(長男談)。
本当かね。
もし本当ならば、中学側による生徒の洗脳は成功したといえる。
確かに、受験直前に1か月以上学校を休んで自宅で勉強を続ければ、早寝早起きの習慣が崩れがちになる。そうなると結局、本番の試験で成果を発揮できなくなる。
自宅学習を続けていくうちに生活習慣が乱れて、受験勉強がはかどらなくなる生徒が出るのを学校側は警戒して、受験直前まで生徒を毎日登校させたいのだろう。
学校に行かずに自宅に居ると、受験勉強が手につかず動画鑑賞やゲームにのめりこむ生徒が出るのだろう。学校側がそれを防ぎたいのはわかる。
でも、せめて受験直前の最後の数日間は、受験生として最後の「自分との闘い」として、自宅にこもって受験勉強をさせてあげたいものだ。
我が家のケース
長男は、都立高校入試直前、連日の学校での長時間自習&家や塾での受験勉強で椅子に座り続けたため、お尻におできが出来てしまった。
そして、都立高校入試1週間前になって、長男のお尻のおできが化膿し、長男は痛くて椅子に座れなくなってしまった。
ところが、公立中学側から「受験は団体戦」・「学校を休むのは恥」と刷り込まれていたのだろう、長男は最後まで、痛むお尻を引きずって登校しようとした。
「ひとりだけ学校を休む=ずるい」と友人から思われるのが長男は嫌だったのだと思う。
私たち家族は、学校で長時間椅子に座っていると腫れがひかないので、学校を休んで、家で軟らかいマットを敷いて勉強したほうがいいと、何度も長男を説得しようとした。
けれども長男は聞く耳を持たず、どうしても中学校に登校すると言い張った。
長男と私たち家族とのやり取りはまるで「宗教団体に入信した息子と、息子を脱会させようとする家族」のようだった。
しかし、とうとう、化膿したお尻のおできの痛みが限界に来たため、長男はようやく登校を断念することを了解した。
長男と話し合い、都立高校入試直前の数日間、中学校を休むことになった。
お尻の痛みが受験当日までひかず、試験に集中できないんじゃないかと心配していた。
しかし、入試3日前にようやく長男のお尻にできたおできがようやく破裂して、膿が出て腫れがひいた。
少しずつおできが治っていき、都立高校入試当日には痛みはほぼなくなっていた。
長男は無事に都立高校の試験を受けることができた。
結果的に長男が無事に試験を受けられたから良かったものの…長男は私立高に不合格だったので、もう後がなかった。
長男は、都立高校に合格するしか道はなかったのだ(まあ、都立高校2次募集を受ける、という方法も残されていたけれど)。
私たち家族からすると、中学側から登校を強要されて、受験勉強を妨害されているような気分だった。
それに、長男があれほど執拗に登校にこだわったのが本当に気持ち悪かった。
おかげさまで「受験は団体戦」という言葉が私は大嫌いになった。
「受験は団体戦」と言い張ったほうが学校運営上、都合が良いのだろうけども、受験というのは最後は、受験生本人にとって「自分との闘い」だ。