読書感想「ギフテッド 天才の育て方」

タイトル:ギフテッド 天才の育て方
著者:杉山登志郎 岡南 小倉正義
出版年:2009年
出版社:株式会社 学研マーケティング

本書の初版は2009年。

本書はギフテッドに関する本の先駆けに位置する本だ。

本書が出版された以降、
ギフテッドに関するいろいろな書籍が発売されてきた。

けれども、
そのなかでも本書は内容がコンパクトにまとまっていて、
読みやすい本だ。

自分のこどもは能力の凸凹が大きいと感じている保護者には一読の価値がある

わたしは本書が初版された11年前に本書を読んでいる。

今回久しぶりに本書を読んでみて、
日本ではこの11年の間ギフテッド教育はほとんど普及しなかった
と改めて実感している。

実際、長男が通う公立中学でも特別支援教育はなされているが、
ギフテッド教育を思わせるような教育はこれっぽっちも行われていない。

 

ギフテッドとは

本書の副題が「天才の育て方」なので、
ギフテッド=天才だと誤解されやすい。

けれども、
ギフテッド(gifted)=特定の能力が秀でている人のことであって、
必ずしもギフテッド=天才ではない。

この点、よく言われているように、
ギフテッド教育=英才教育ではないのだ。

 

本書の内容

ギフテッドの具体例と海外のギフテッド教育が紹介

本書には、
ギフテッドとされる人の具体例と、
海外でのギフテッド教育が紹介されている。

ギフテッドといっても秀でている能力は各人異なるので、
こういう人がギフテッドと簡単に説明できない。

 

同時処理と継次処理

本書に出てくる登場人物(空間認知能力が高いが、書字に困難がある)が、
長男に良く似ていると思ったので参考になった。

学校の授業は一般に継次処理といって、
教科書の前から順に勉強していく方法である。

一方で、
長男は継次処理よりも同時処理が得意なので、
勉強を始める前にその単元の中で核となる内容(大事なところ)を最初に提示してから、
細部を掘り下げていったほうが理解が深まる。

さっそく勉強方法に取り入れようと思った。

 

海外でのギフテッド教育

本書を読む限り、
アメリカやイギリスなど欧米でのギフテッド教育は11年前の時点でも現在の日本よりもだいぶ進んでいるのは間違いない。

ギフテッド(gifted)という用語そのものが表す「gifted=(神から)与えれれたもの」だから、
神から与えられたものを大切にしようという欧米での考え方の根本が、
日本と違うのだろう。

 

特別支援教育の現状

我が家の長男が通う中学の特別支援教育で
ギフテッド教育を受けることは現実的に不可能である。

いまだに公立小中学校では、
一律に同じことを学ぶことを目標にしていると感じる。

本書には「特別支援教育が日本を救う」というフレーズが書かれている。
けれども、残念ながら現状は、
一律で同じことを学ぶことができない人間が排除され、
苦手な分野を配慮してもらいながら勉強する場所=「特別支援教育」になっている。

現状、海外のギフテッド教育と同等の教育を受けるためには、
保護者が子どもの得意分野を把握して通塾するなり自宅で教えるなりして、
こどもの得意分野を伸ばしてやるしかない

ただ、公立中学を卒業した後は、
高校に関しては公立・私立いろいろな特色がある高校がある。

長男が進学する高校に関しては、
長男の得意分野を伸ばせるような環境を選ぶつもりだ。

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