今日は前回の記事、
算数の文章題を図を描いて理解する(その1)概念形成には時間がかかる
の続きである。
『はじき』を初めて知った頃
わたしが中1の頃だったと思う。
友人が通う塾の宿題プリントを見て、
『はじき』と書かれた図を見つけた。
私がその図を指さして「これ何?」と友人に聞くと、
『はじき』という図を塾講師から教えてもらったとのこと。
『はじき』は、は=速さ、じ=時間、き=距離(道のり)
という意味だ。
『はじき』の図を問題用紙の隅に描いておいて、
は(速さ)×じ(時間)=き(距離)と代入すると
機械的に問題が解ける。
この『はじき』の図、
言葉が違うだけで、
最近では『みはじ』という図が
用いられていることが多い。
『みはじ』は、
み=道のり、は=速さ、じ=時間
という意味だ。
つまり、
『みはじ』も『はじき』も言葉が違うだけで、同じものである。
『みはじ』の図
『はじき』や『みはじ』の弊害
ネットを検索していると、
『みはじ』や『はじき』の使用に否定的な見解を見つけた。
なるほど。
このサイト(失格です)に書かれているように、
『みはじ』や『はじき』を使って解くことに慣れると、
問題は解けて、答えは正しいけれど、
「速さ=単位時間あたりの移動距離」であることを理解しないまま中学生になる。
概念を理解しないまま、
中学生になってから方程式で速さの問題を解こうとしても、
方程式を立式することができない。
補助的に『はじき』や『みはじ』を使うならば、問題ないだろう。
ただ、
算数・数学が苦手な生徒は、
『はじき』や『みはじ』を書いて解く方法から脱却できず、
速さの概念をなかなか理解できない。
図を描いて文章題を理解することの大切さ
「速さ=単位時間あたりの移動距離」を理解するためには、
「図を描いて文章題を理解すること」が有効だと思う。
算数の文章題を図を描いて理解する(その1)概念形成には時間がかかる
けれども残念なことに
「図を描いて文章題を理解すること」を実践している先生方は少ないみたいだ。
図を描く方法を長男に試してみた感触
「図を描いて文章題を理解すること」を長男にやってもらった感触として、
1度や2度、図を描いてもらってもなかなか理解できない。
けれども、
図を描いて文章題を解く方法を根気強く何度も繰り返していると、
速さの概念が少しずつ形成されてくる。
もちろん、
図を描いて理解する練習をしなくても、
中学校に入学してから速さの概念を少しずつ理解できるようになる生徒もいる。
塾を見分ける方法
速さの概念を理解できない子どもに対して、
『みはじ』や『はじき』を使って速さの問題を解くよう指導しているか、
それとも、図を描いて速さの問題を解くよう指導しているかで、
算数・数学についてどういう指導をしている教師・塾講師かを見分けられる。
当然に
「図を描いて速さの問題を解くよう指導している」教師・塾講師が、
きちんとした指導をしている教師・塾講師
だと思う。
もっと言えば、
図でなくても、たとえば
「実際に自宅から駅までを往復で歩いてみて何分かかるかを測ってもらい、実際に速度を計算する」といった方法でもよいのだ。
速さの概念が理解できる方法であれば、図でも何でも良い。
『みはじ』や『はじき』を使って問題を解けば、
小手先で一時的にテストの点数は上がるかもしれない。
でも、それでは速さの概念を理解したことにならない。
理解に時間がかかってもよいから、
概念を理解する工夫を算数・数学の指導に取り入れている塾を
選んだほうがよいと思う。