何日か前に読売新聞に掲載されていた「公立小学校のプール授業を外注する自治体が増えている」という記事を興味深く読んだ。
公立小学校のプール授業の外部委託について
記事の要約
読売新聞の「公立小学校のプール授業の外部委託」に関する記事を要約すると以下の通り。
・プール授業を業者に委託する小学校が増えている
・プール授業の委託費は安くない
・プール授業の外注で教員の業務負担の軽減が図れる
・プールの建設費・維持費が高い
・真夏に外のプールに入るのが危険な日もある(熱中症予防)
・スイミングクラブにプール授業を委託する場合、児童をスイミングクラブまで移動させるのに手間がかかる
プール授業を外部委託するメリット
上記の記事では、プール授業を外部委託している例として、千葉県のとある自治体の公立小学校が掲載されていた。
小学校に屋外プールを設置して維持管理するには莫大な費用がかかる。
一方で、プール授業を外注すると、それなりに費用がかかる。
記事で取り上げられた小学校のケースでは、プール授業の外部委託費≒年間のプール維持管理費だった。
ただプールの授業を外部委託することで、教員の負担軽減を図れるというメリットがある。
小学校のプール授業の委託は「予算削減」と「教員の負担軽減」が主な目的らしい。
予算削減
プールに限らず、お国はどうやら教育予算を削減したくてたまらないようだ。
学校統廃合で学校自体を減らすだけでなく、予算削減の一環として今度はプールを削減せよということらしい。
今まで全国の大多数の公立小中学校にはプールが設置されていたように思う。
けれども、今後はプールのように維持管理が大変な大型施設はなくなっていくのかもしれない。
小学校の授業の外注化
小学校での英語必修化やプログラミング教育の導入など、小学校では今後、色々な科目が増える。
カリキュラムはすでにギチギチなのにこれ以上詰め込むのか?という気もする。
英語やプログラミングを小学校で必修にする必要はないと思うのだが。
小学校の先生は今でも十分忙しいのに、英語だのプログラミングだので、ひとりの先生がすべての教科を教えるのはもはや限界だ。
そんな中、プール授業の外注化は必然的な流れだろう。
最近、教員の業務負担の軽減の必要性が叫ばれている。
実際、長男の小学校では、長男が小1の頃(6年前)と比べると夏休みのプールの時間が大幅に減っている。夏休みのプール指導は教員にとって負担が大きい。
スイミングクラブにとっては朗報?
少子化で子どもの数が今後減っていくのに伴い、スイミングクラブに通う子どもは年々減っていくと予想される。
スイミングクラブにとってプール授業の外注化は願ったり叶ったりだろう。
通常は空いている午前中~お昼過ぎの時間帯に小学校のプール授業を請け負うことになれば、プールの稼働率も上がる。
現在でも、私立小学校はプールの授業をスイミングクラブやスポーツクラブに委託しているところが結構ある。
私立小学校はプールがないところも多いからだ。プールは設置・維持管理に莫大な費用がかかるからだ。
公立小学校のプール授業の外部委託は、公立小学校とスイミングクラブの双方にとってメリットだ。
猛暑日の影響
今年は今のところ冷夏で日照不足だ。今年は長男が通う小学校でもプール授業が雨で中止になる日が多い。
しかし、昨年は猛暑で、最高気温が35℃前後になる日が続いた。
昨年、長男が通う小学校では、猛暑日に気温&プールの水温が異常に上昇したため、熱中症を予防するために夏休みのプールが中止になる日が続いた。
猛暑日に外でプールに入ると、涼しくなるよりもむしろ「猛暑日に外で温泉に浸かっている」状態になり、熱中症になりかねない。
それだけでない。
猛暑日ではプールの行き帰りに子どもが外を歩いているだけで熱中症になりかねない。
ここ数年のように、猛暑日が連日続くような状況では、夏休みのプール授業自体、生命に危険だ。
そう考えると、スイミングクラブのように、室温と水温がきちんと管理された状態でプールの授業を受けたほうがよいのだろう。
そうなると、今後は残念ながら学校のプールそのものがなくなっていくかもしれない。
まとめ
私のように、夏休みに学校のプールで泳ぐことが夏の唯一の楽しみだった者からすると、学校のプールがなくなるのはとても悲しい。
公立小中学校に屋外プールが設置されていたおかげで、日本人のかなりの割合が泳げる(もちろん泳ぐのが嫌いな人はいるとは思うが)。
それに、公立小中学校のプールは災害用の水溜めという重要な役割がある。
水泳好きの子どものためにも自治体は公営の屋外プールを残してほしい。
今後は、屋外プールに気軽に入れない時代になるかもしれないと思うと一抹の寂しさを感じる屋外プール好きの私である。