都立中高一貫校5校が高校からの募集を停止し、すべて中学からの募集のみにすると昨年発表された。
都立富士・都立武蔵・都立両国・都立大泉・都立白鴎の5校について高校募集を停止することが記載されている(下記の表は東京都教育委員会ウェブサイトから抜粋)。
・都立富士・都立武蔵については、2021年度から高校募集停止
・都立両国・都立大泉については、2022年度から高校募集停止
・都立白鴎については、実施時期未定だが2021年度以降に高校募集停止
*いずれも高校募集停止した分、中学定員を増やす
とのことだ。
都立中高一貫校の位置づけ
ところで、高入停止することが決まった上記5校の位置づけはご承知の通り「上位校」、もっと具体的に言えば都立2番手校~都立3番手校である。
都立高校のレベルをすごくざっくりと表にすると以下のとおりである。
都立上位校一覧
日比谷 西 国立
戸山
青山 八王子東 立川
新宿(単位制)
両国 小山台 駒場(普) 武蔵
竹早 三田 国際 小松川 武蔵野北 国分寺(単位制)
大泉 北園 町田 多摩科学技術 調布北 小金井北
富士 豊多摩 日野台
白鴎 城東 昭和
*赤字:都立中高一貫校
*斜字:2019年の学力検査による入試で実質倍率が1.60倍を超える学校
高入は都立中高一貫校のデメリット
東京都教育委員会が発表した報告書では、都立中高一貫校では、高入生が学校制度になじめない・高入制度のせいで都立中高一貫のメリットを生かし切れていないというデメリットがあると指摘されている。
これを受けて、今後、都立中高一貫校の高入生募集が停止されることが決まった。
都立中高一貫校の中受の倍率が5倍前後である現在、中受の定員を増やして欲しいという要望が多いのは当然だ。
それに、中入生メインの中高一貫校では高入生は転校生のようなもので、高入生が周囲の環境に慣れるまでに時間がかかる。
だから都立中高一貫校の高入を躊躇する子どもも多いのも確かだ。
ここ数年、都立中高一貫校の高校入試倍率が他校より低めである。
だが、2019年は倍率が高い他校を敬遠して受験した人が多かったせいか、都立中高一貫校の高校入試の実質倍率は決して低いとはいえないレベルの倍率であった。
高入停止することが決まった上記5校の平成31年度の募集定員(平成31年度都立高等学校等第一学年生徒募集人員)は以下のとおりである。
都立中高一貫校5校の高校募集停止により、約400名の高校入試募集定員が減る。
両国 男子39名 女子39名 合計78名
武蔵 男子39名 女子39名 合計78名
大泉 男子39名 女子39名 合計78名
富士 男子39名 女子39名 合計78名
白鴎 男子39名 女子39名 合計78名 5校合計390名
また減るかも都立高校の定員
上位~中位の都立高校は倍率が高い高校が多い。
上記の都立上位校一覧のうち斜字で表した高校(日比谷・戸山・青山・新宿・三田・国際・国分寺・北園・豊多摩・城東)では倍率1.60倍を超えている。
特に戸山・青山・新宿の実質倍率は2倍近くあって、確実に合格するためにこれらの高校からレベルを落として都立中高一貫校に受験校を変更する生徒もいる。
都立中高一貫校が高校募集停止したら、ほかの高校まで倍率が上昇すること必至だろう。
「ただでさえ倍率が上がって入りにくくなっている都立高校の倍率をこれ以上、上げないででほしい」というのがわたしの本音。
ぶっちゃけ、都立中高一貫校の高校募集停止分だけ、他の上位~中位の都立高校の定員を増やしてほしい。
都立中高一貫校の高入停止によって減る高校募集定員約400人というと、都立高校1校の募集定員がまるまるなくなることとほぼ等しいのだ。
まとめ
都立中高一貫校の高校募集停止は上位校だけの問題ではない。
都立中高一貫校の高入停止によって約400名の高校募集定員が減らされれば、上位・中位の都立高校の倍率がさらに上がるだけでなく、下位の都立高校にまで高倍率が波及するかもしれない。
同じレベルであれば、23区内の高校よりも全体的に倍率が低めの多摩地区の高校を狙うというのも選択肢だろう。
下り電車で東京市部の高校に通うのに要する時間をどう考えるかだ。
あるいは、ランクをひとつ落として確実に合格できる高校を受けるという選択肢もある。
都立中高一貫校が高校募集停止して、その分、他の高校の定員が増えなければ、そのすぐ下のレベルの高校(隅田川、井草、上野、石神井、狛江、清瀬あたり)の倍率が上がる。
今後も、都立高校の倍率についてチェックしていくつもりだ。