発達障害に関する本の移り変わり

今から10年くらい前、発達障害に関する本といえば大部分が「発達障害とはどういうものか?」を紹介する本か「療育」のどちらかだったと思う。

 

発達障害の概要を知りたい人向けの本

発達障害の概要が分かる本として、たとえば以下の2冊が有名だ。

以下の2冊には発達障害の概要がまとめられていて読みやすい。

・杉山登志郎著「発達障害の子どもたち」、2007年、講談社

・杉山登志郎著「発達障害のいま」、2011年、講談社

 

 発達障害者(当事者)や家族の手記

その後も、発達障害について説明する本や療育に関する本が数多く出版されている。

そして、発達障害者(当事者)の暮らしぶりを当事者または家族が書いた本が出版されるようになってきた。

たとえば以下の本だ。

・高橋和子著「高機能自閉症児を育てる」、2011年、小学館

2011年当時私はこの本を読んで、発達障害者の子育ての大変さに驚いた記憶がある。

 

発達障害の薬物療法に関する本

そして、ここ数年「発達障害者(特に子ども)への薬物投与はできるだけ少量にすべき」ことを記載した本や「発達障害者への薬物療法に対して疑問を呈する本」がぼちぼち出版されるようになってきた。

たとえば以下の本がそうである。

・神田橋條治著「発達障害は治りますか?」、2011年、花風社

・内海聡著「精神科は今日も、やりたい放題」、2018年、PHP文庫

・嶋田和子著「発達障害の薬物療法を考える」、2017年、彩流社

・井原裕著「子どもの発達障害に薬はいらない」、2018年、青春出版社


・米田倫康著「発達障害バブルの真相」、2018年、萬書房

このうち、内海氏の本(精神科は今日も、やりたい放題)はもともと2012年に出版された。この本は最近(2018年)文庫本として再販された。

この内海氏の本は2012年の出版当時「いい加減な本だ」とかなり叩かれていたと私は記憶している。

今思えば、内海氏はかなり早い時点でこの問題を取り上げていたということだ。

先見の明がある。

 

薬物療法以外の療法に関する本

最近では「薬物療法以外の方法で発達障害の症状を減らす・なくす方法」についての本が出版されるようになってきた。

たとえば、感覚統合に関する本や花風社の一連の本がそれにあたる。

・灰谷孝著「人間脳を育てる 動きの発達&原始反射の成長」、2016年、花風社

・栗本啓司、浅見淳子著「自閉っ子の心身をラクにしよう!: 睡眠・排泄・姿勢・情緒の安定を目指して今日からできること」、2018年、花風社

・ロバート・メリロ著「薬に頼らず家庭で治せる発達障害との付き合い方」、2019年、クロスメディア・パブリッシング

 

まとめ

発達障害に関する本の推移を見ていると、今は薬物療法一辺倒である発達障害の治療法が、「代替療法もアリかも」というように風向きが少しは変わるかもしれない。

今は一般に「代替療法は怪しい」などといわれることが多い。

けれども、こういった代替療法に関する本が徐々に出版されるようになってきているということは、案外多くの人が興味を持っているということだろう。

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