読書感想「学校がキライな君へ」

「学校がキライな君へ」という本を読んだ。

著者は、都立高校の英語教師として全日制で26年、定時制で12年教えていた人だ。

この本は、著者が定時制高校で勤務していた頃の生徒たちの日常について書かれている。

 

今の定時制高校はいわゆる「ヤンキー」の生徒が減り、代わりに「学校になじめなかった」生徒が増えているとのこと。

都立単位制高校や工科高校でも同じ傾向らしい。都立単位制高校や専門学科高校の学校説明会でも「今はヤンキーの生徒は少なく、おとなしい生徒が多い」と聞いた。

 

この本のなかで、全日制から定時制高校に転入してきたが、ヘッドホンをつけて常に単独行動していた男子生徒が修学旅行に参加した話が印象的だった。ほかにも「学校になじめなかった」生徒の話がこの本にはいくつか載っている。

定時制高校に入学するまでの間、学校生活でなにかうまくいかないことがあって定時制高校に転入してくる生徒が多いようだ。

一方で、小中学校ではいじめにあったり不登校だったのが、定時制高校に入学して勉強の面白さにめざめ、オール5をとる生徒がいるとのこと。

この本を読むと、今の若者を取り巻く状況が一層厳しくなっていることがよくわかる。定時制高校には、収入が不安定な家庭に育ち、家計を支えるためにアルバイトをする生徒が少なくない。

 

感想

厳しい環境に置かれている生徒を教える定時制高校の先生は大変な仕事だと思った。

でも、定時制高校に救われた生徒も多い。

どこの都道府県でも定時制高校を廃止・縮小する方向にあるようだが、定時制高校を通信制高校で簡単に置き換えてしまっていいのだろうか。

 

小中学校で不登校のこどもの数が過去最多を更新し続けている。

これからどんどん、この不登校の生徒の学びを保証する場が必要になる。

この本で著者が言う通り、高校三年間がひとりひとりに与える影響は途方もなく大きい。

定時制高校は残したほうがいい。真剣に向き合ってくれる大人に出会うことがないまま大人になる人を増やしてはならないと思うから。

 

学校がキライな君へ

加藤良雄 著
2018年  初版
同時代社 発行

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