そういえば最近、我が家の周辺ではミニ戸建てが増えなくなった。
2010年代中頃までは、建売の一戸建て狭小住宅のチラシをよく見かけたものだ。
当時は、都内でもミニ戸建てならば家が買えたのである。
ところが今は、山手線の外側にある我が家周辺ですら、建売住宅のチラシや看板を見かけない。
「狭小住宅」とか「ミニ戸建」とかの言葉を聞かなくなった。
土地の値段が上昇し、庶民では東京23区内に一戸建てを買うのは難しくなっている。
たまに見かけるチラシでは、一戸建ての建売が1億を超えていたりする。
「この辺で家を探しているけれど、あまりにも高くて買えない」という話をよく聞く。
ほんの7、8年くらい前まで、夫婦フルタイム共働きならば、夫婦でローンを組んで都心にわりと近い地域に一戸建てを買えた。当時は共働きのご家庭が多く移り住んできた。
そういう時代が20年30年ほど続いた。
ところが今は、一戸建てを建てるのは富裕層か、二世帯住宅や相続で親の土地に家を建て替える人のどちらかだ。
富裕層の方々はもちろん建売には住まない。
彼らは、広めの土地に自ら選んだデザインの豪邸を建てる。
ここ数年、インドアの車庫付き・一戸建ての豪邸が我が家の周辺に増えた。
そういう豪邸はセキュリティがしっかりしているから、外側からは生活の様子を伺い知ることができない。
そして彼らは地元の小学校に子どもを通わせない。彼らの子どもが朝、近所の公立小中学校に歩いて向かうのを見たことがない。
たいていは私立の小学校かインターナショナルスクールに子どもを通わせている(インターナショナルスクールに通う子が増えている)。
朝、送迎のために母親がこどもを車に乗せて出ていく姿を見かける。
そんな感じなので、彼らは地域との繋がりを持たないことが多い。
最近、わが家周辺の子育て世帯は、半数以上の「賃貸物件に住む家庭」、2、3割の「ミニ戸建てに住む家庭」、そして一握りの「豪邸に住む家庭」が混在するカオスな雰囲気になりつつある。
