長男が保育園に入園してから10年以上が経つ。
長男は来年、中3だ。
来年で長男の保育園入園からはや15年経つと思うと…感慨深いものだ。
保育園の先生方には本当にお世話になった。感謝である。
公立保育園民営化の嵐
2010年頃から世間では保育園民営化の流れが加速した。
「高齢の保育士が多いせいか態度が上から目線だ」・「公務員保育士の給料が高い」・「いわゆるお役所で融通が利かない」などの理由で公立園が世間でやり玉にあがっていた。
待機児童の増加と民営化
その頃、待機児童の増加が少しずつ問題になり始めていた。
そのせいで自治体はとにかく保育園を増やさなければならないため、経費がかかる公立園を民営化する流れが加速していた。
それに加えて、民営園を支持する保護者も当時は多かった。
「民営園のほうが柔軟性がある」・「公立園にはない体育指導やリトミックなどのお稽古事をやってくれる」・「夜遅くまで預かってくれる」などの理由で、公立園よりも民営園を評価する保護者が当時は結構たくさん、いた。
そんなわけで、2010年前後から公立保育園がどんどん民営化されていった。
発達障害バブル
その一方で、2006年に障害者自立支援法が施行され、日本が2014年に障害者権利条約に批准してから、発達障害という概念が少しずつ世間一般に広まっていった。
いわゆる発達障害バブルである。
けれども、民営園では若い保育士が多く、支援が必要な子どもに適切な保育がなされないケースが出てきた。
(注)若い保育士が能力が低いからダメと言いたいのではない。保育士がすぐ辞めていくので支援のノウハウが蓄積しないことが問題なのだ。
長男がそうだったのだけれども、民営園での体育指導や音楽指導などの一斉保育が、こどもひとりひとりの発達に沿ったものではない場合も多かった。
その頃から、こどもひとりひとりの個性を重んじ、各々の発達に沿った保育をする公立園の良さが少しずつ保護者に再評価されるようになっていったと思う。
また、自治体側も、経験が浅い保育士が多数を占める民営園では支援が必要な子どもの保育が難しいこと・経験ある保育士が支援が必要な子どもを担当すると、子どもが落ち着いた園生活を送れることを少しずつ認識するようになっていったと思う。
実際、公立園に加配枠を設け、発達に課題がある子どもを公立園で積極的に受け入れている自治体も出始めている。
最近では、保育の質を維持するために公立園を一定数残すという流れに変わってきている。
要支援児の存在が公立園の存続を助けたともいえる。
主体的で深い学び
そして2021年である。
主体的に学ぶことの源泉は、主体的に遊ぶことだと思う。
これからの時代、既存のフレームをなぞるよりも、主体的に学ぶことで新しいフレームを創り出せる能力が必要だ。
「遊びから学ぶ」という公立園の保育の良さが改めて評価されているのだと思う。
公立園の「無理強いせず・自分がやりたいことを見つけて遊ぶ」方針が、将来の仕事への姿勢と繋がっていく。
要支援の子が落ち着いて過ごせる園は、どんな子でも落ち着いて過ごせる園だ。