(中学見学記)東京大学教育学部附属中等教育学校

中学見学記

冬休みが始まっている。

現小6は受験直前の追い込みの時期だ。

現小5は受験校をどこにしようかとあれこれ悩んでいる最中だろうか。

今回の記事は、我が家の長男は中学受験しなかったけれども、相性がもし合えばとても素晴らしい学校の見学記である。

このブログはもともと、高校受験向けの記事を書くために開設したものだ。

が、我が家には次男もいることだし、次男が中学受験するとも限らないので、ひとつくらいは中高一貫校を見学してみようかと思い立ち、ちょっと個性的な中高一貫校である「東大附属」の学校見学会に行ってみた。

今回の記事は、東京大学教育学部附属中等教育学校(以下「本校」と記載)の見学記録である。

 

中学見学記:東京大学教育学部附属中等教育学校

えっ?東大に付属中学・高校があるの?と思う人がいるだろう。

ところが、あるのだ。

正確に言うと本校は「東大の教育学部」の付属中高である。

東大にエスカレーターで進学できるの?と思う人もいるかもしれない。

残念ながら、本校から東大にエスカレーターで進学することはできない。

 

特色その1:調査研究

本校の特色のひとつは調査研究だと思う。

本校では早いうちから自分で調べて文章を書く学習をするそうである。

ありきたりの受験勉強だけの毎日には面白みを感じないタイプの生徒にとっては、調査研究は非常に知的好奇心をそそるだろう。

 

特色その2:グループワーク

本校はグループワークを重要視しているそうである。

このため、授業ではとにかく、グループで話し合う機会が多いそうである。

学校説明会では、グループワークの経験が企業に就職した後で役立っているとOGが話していた。

なるほど、グループワークの経験は、特に業種によっては企業でとても活きてくると私も思った。

一般的な公立中学・高校ではグループワークによる学習に力を入れているところはほとんどないだろうから、グループワークは本校の大きな特色のひとつだろう。

 

特色その3:双生児研究

双生児でない一般の生徒にはあまり関係のないことだが、本校は知る人ぞ知る「双生児研究」を行っている学校である。

東大教育学部で長年、双生児研究をやっているのだ。

双生児の生徒の入学選抜は、一般生徒の入学選抜と別枠で行われる(試験内容は同じ)。

本校の卒業生として大竹まことがいるが、大竹まことも双生児のかたわれである。

 

特色その4:旧制高校だった経緯

あまり知られていないことだが、本校は実は昔、旧制高校だったそうである。

旧制高校は当時、いわゆるエリートが進学する学校である。

旧制高校だったという経緯が本校の校風(ちょっとバンカラで自由闊達)に影響を与えているのだろう。

たとえば、後期過程(高校)の服装は自由である。

 

本校で良いと思った点

本校を学校見学してみて、生徒の仲がとても良いことが印象に残った。

中高一貫であるから6年間同じメンバーで過ごすのだが、1学年120名前後と少人数なので、6年間過ごせば学年全員の名前と顔が一致する。

同期は卒業後も強い絆で結ばれているようで、卒業後もずっと交流があると話すOB・OGが多かった。

また、全校生徒の人数が少ない分、部活動でも縦のつながりが強いそうである。

一生涯の友人を作れそうな学校だと感じた。

 

本校に向いている生徒

普段の学習ではグループワークが多いため、社交的でコミュニケーション能力がある生徒が本校に向いていると感じた。

頭脳明晰であることよりも、周りの意見を聞いたうえで自分で考えるタイプの生徒が本校に向いてそうだ。

逆に、自分自身で物事を突き詰めて答えを出すのが好きな生徒・職人肌の生徒は本校に向いていないかもしれない。

 

設備

設備に関しては文句のつけようがない。

素晴らしい。

本校のように、新宿駅からバスで15分の立地にあって、広いグラウンド・プール・武道場などを兼ね備えている私立中高は少ないだろう。

 

アクセス

新宿駅からバスで15分・中野駅からバスで15分ほどである。

電車では、地下鉄丸ノ内線(支線)の中野新橋駅から徒歩10分・地下鉄都営大江戸線の西新宿5丁目から徒歩15分・京王新線の幡ヶ谷駅から徒歩15分である。

以上のように、場所に関しては少々、微妙な位置に立地している。

バスで通える人にはおすすめの学校である。

けれども、遠方から通う人にとってはアクセスは良いとはいえない。

受験資格として家から学校まで90分以内という制限を課しているものの、中には遠方から片道90分かけて通っている生徒もいると学校説明会で聞いた。

 

進学先

AO入試に強いとのこと。

AOといっても、一芸入試でAO入試を突破するのではなく、本校での学習で培われた調査研究が認められてAO入試を突破する生徒が多い。

事実、大学に入学してからも、本校で調査研究がゼミでの勉強で役立っていると、学校見学会に出席したOB・OGが話していた。

進学実績を単に合格者数という観点だけから見ると、都立2番手校と都立3番手校の間くらいの進学実績だろうか。

ただ、1学年120名と少人数であることや、学校では調査研究が主体でいわゆる受験指導がないことを考えれば、なかなか素晴らしい進学実績だと思う。

 

入学試験の内容

推薦と一般入試がある。どちらも一癖ある内容なので、本校を受験したいならば早めに塾の先生と相談したほうがよいと思う。

入学試験に作文があるので、作文力がある生徒が本校の選抜試験に有利だと思う。

実際、入学後はレポートを書く頻度が普通の公立中学よりも格段に多いので、ある程度きちんと作文を書けないと入学後に困るからだろう。

 

その他

他の国立大学付属校でもよく聞く話であるが、学校説明会での話を聞くと、とにかく「お金(予算)がない」ように感じた。

もちろん国立中学なので学費自体は安いが、加入している部活によってはその他色々とかかるようである。

たとえば、部活動が全国大会出場となると、遠征に際して「ご寄付のお願い」があると学校説明会で聞いた。

 

まとめ

我が家は結論として、グループワーク主体である点で本校は長男には向いていない(そもそも長男には学力的に難しいという理由のほうが大きい)と思ったので、受験しないことにした。

本校は受験受験!という学校ではないけれども、ハマる人にはハマる学校だと思う。

たとえば、

・大学受験に向けた取り組みよりも、中学高校時代は受験にこだわらず調査研究のような学習にじっくり取り組んでほしいと思っている保護者

・レベルの高い大学に合格するための勉強よりも、自分が知りたいことを自分で調査する勉強に興味がある生徒

・自分の中で掘り下げて深く考えるよりも、周りの人の意見を聞きながら答えを見つけていくタイプの生徒

にとって本校は最高の環境だと思う。

立地  :★★☆☆☆

進学実績:★★★★☆

自由度: ★★★★★

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