パン職人という職業

巷では高級食パンブームだ。

1斤800円、1,000円という食パンがすぐに完売する。

高級食パンを販売しているのは有名店だけではない。

1斤1,000円の食パンを1日限定10斤だけひっそりと販売している小さなお店もあったりする。そんな小さなパン屋でも1斤1,000円の限定食パンが毎日完売する

こんな巷の高級食パンブームとは裏腹に、良心的な値段でパンを販売する地元のパン屋さんも存在する。

 

高級パン路線にあらがう店

我が家の地元には、良心的な値段でパンを長年製造・販売しているパン屋さんがある。そのパン屋さんの店の奥では、店主とおぼしき男性(パン職人)がひたすらパンを作っている。

楽して儲けを出そうとするならば、高級食パンのような高価格パンを製造販売したほうがいい。そうすれば、売れるパンの個数は少なくても利益を出せる。

高級パン路線はやはり儲かるのだろう。実際、高級食パンを製造販売するチェーン店も出てきた。

でも、その地元のパン屋さんは高級パン路線をかたくなに拒否している(ように見える)。

その地元のパン屋さんにパンを買いに行くと、接客(パンの販売)はパートのおばさんたちが担当し、店主はいつもひたすら店の奥でパンを作っている。

パンは次から次へと焼きあがり、お客さんが次から次へとパンを買いに来る。

 

パンをつくるのが好き

その店主の動きを見ていると、彼は金儲けのためにパンを作っているのではなく、「パンを作ること」がとにかく好きなのが伝わってくる。

もしかしたら、パン販売担当のパートのおばさんたちの人件費をパンの売り上げから差し引くと、大きな利益は出ないのかもしれない。

それでも店主がひたすらパンを作り続ける姿勢は一貫している。

店主にとって、安定した生活を維持するのに十分なお金が得られば、「自分が作ったパンが次から次へと売れる」→「それでお客さんに喜んでもらえる」で十分のように見える。

この地元のパン屋さんは他の多くの事業者のように「パンが売れるとすぐにパン屋の支店を出して規模拡大する」ことは決してしない。

ビジネスを拡げるよりも美味しいパンを作り続けたいーそれがこの店主のポリシーなのだろう

発達障害者は職人的な仕事に向いているといわれる。

黙々とパンを作って販売し、苦手な接客はパートさんたちに任せれば、食べていけるだけの収入は確保できるかもしれない。

我が家の長男も、この地元のパン屋の店主のように「贅沢をしなければ好きな仕事で暮らしていける」ような仕事に就けるといいなと思っている。

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