中学受験と公立中の内申制度が引き起こす「負のスパイラル」

公立中学の「内申制度」と「中学受験」は相互に「負のスパイラル」を引き起こしているなあ…とつくづく思う。

 

都市部の公立小では中学受験の影響が無視できないほど大きい。

都市部では、小学校高学年になると多くの子どもが中学受験対策の塾に通い始める。

中学受験塾では小学校の進度を先取りした授業を行う。

中学受験する塾よりも内容がずっと簡単な小学校の授業を聞いていてもつまらないし、受験によるストレスも相まって、授業を聞かないで遊びほうける子どもが増えて学級崩壊に至る、という流れが都市部にはある。

中学受験ストレスで学級崩壊が起こるなんて、中学受験しない子どもにとっては至極迷惑な話である。

 

そもそも、中学受験は、難関大学への進学に有利だ、という理由で広まった。

もちろん、付属校で高校受験や大学受験を経ずにのびのびと中学・高校生活を送らせたいので中学受験するという家庭も存在するが、中学受験する家庭の過半数は「受験に有利だから」という理由だ。

 

その地区の中学受験率が高くなればなるほど、公立中学に進学する成績上位層は減る。

結果として、中学受験で成績上位層が抜けた公立中学の生徒たちの行動を規制するため、「内申制度」によって生徒たちを縛り付けることになる。

成績上位層が抜け、その多くが自己統制が苦手な生徒たちを「内申制度」のようなもので縛り付けて管理しないと、学校を統制できないのだ。

 

結果として、公立中学では、やれ提出物だ、プレゼンだと、課題を大量に出して生徒を管理することになってしまう。

それに従わなかった場合、当然、内申点が下がる。

公立中学の大半を占める「自己統制が苦手な生徒」は、提出物みたいなもので締め付けないと勉強しない、と学校側は判断していると思う。

 

ご承知の通り、内申点は公立高校入試の際に大きく影響する。

上の子で内申点に痛い思いをした保護者は、下の子は公立中学に進学させず、中学受験させることになる。

かくして、公立中学に進学する生徒が減っていく。

都内・富裕層が多く住む地区では中学受験率「8割」という地域も存在する。

 

「中学受験」が盛んになればなるほど、公立中学に進学する成績上位層は減り、結果、自己統制が苦手な生徒の割合が増えるから、公立中学は「内申」による締め付けを止めない。

そして、内申点で痛い思いをした保護者は、下の子を中学受験させ、公立中学に進学させない。

 

中学受験が盛んになればなるほど、公立中学に進学する成績上位層は減るので、公立中学では自己統制が苦手な生徒の割合が増え、内申による締め付けが強くなって、居心地が悪いものになる。

逆に、公立中学の居心地が悪くなればなるほど、中学受験が盛んになる。

 

「中学受験」と「公立中学の内申制度」はまさに「卵」と「鶏」の関係である。

中学受験も内申制度も、永遠に無くならないだろう。

中学受験が存在する限り公立中学は再生しないだろうし、中学受験が盛んになればなるほど、公立中学の居心地はどんどん悪くなるという「負のスパイラル」は続いていく。

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