こどもは今を生きている

都市部ではここ数年、保育所の空きが急に増えた。

長男が保育園に通っていた頃は、保育園も幼稚園どこもかしこも、空きがまったくなかった。

引越しをしようとしても、引越し先の地域の園に空きがなくて引越しできないから、小学校入学まではこどもを同じ園に通わせる人も多かった。

けれども、少子化が進んだのと保育園をたくさん作り過ぎたのとが相まって、今では幼稚園も保育園もかなりの空きが出ている。

おかげで今は希望する園にわりと入れるようになった。

たくさんの園で空きが出ているから、教育方針がこどもと合わないと思ったときは、わりとすんなり転園ができるようになったのは良いことではある。

 

「みんなといっしょに卒園したい」

ところで、いまから約10年ほど前、長男が小学校に入学する頃は、「小さい頃から同じ園でいっしょに成長したメンバーで卒園したい」という親が多かった。

保育園の場合、0歳児で入園すれば、同じ園に6年間通うことになる。

赤ちゃんだった頃に入園して6年間、同じ園でいっしょに過ごせば「家族」みたいな気持ちになる。

「赤ちゃんの頃から一緒に過ごしてきた子どもたち達と一緒に卒園したい」という理由で、引っ越した後も遠くから電車で保育園に通う子もいた。

当時は、引越し先の地域の園に空きがないから、引越し前に通っていた園に引っ越し後も通うことも多かった。

ところが今は、年中・年長になってからも転園が相次ぐ。

引越し先の地域の園にも空きがあってすぐに入園できるから、わりと簡単に引っ越していく。

話を聞いてみると、

「小学校に入学するときに知り合いの子どもがいたほうがいいので、小学校に入学する前に引越しすることにした」

とのこと。

どうやら、保育園や幼稚園を卒園するタイミングで引越しをすると、同じ小学校に入学する友だちが誰もいないので子どもが寂しい思いをするからと、年中や年長のうちに引っ越そうと考えるご家庭が最近は多いようだ。

以前は「こどもはすぐに友だちができるから」と、同じ小学校に入学する知り合いが誰もいなくても、小学校に入学するタイミングで引越しをするご家庭のほうが多かったと思う。

長男も、同じ小学校に入学する知り合いが誰もいなかった。
でも、入学した小学校のおともだちと相性が良く、小学校生活の6年間、楽しく通えた。

一方、今は、保護者が先を考えて、小学校入学前に引っ越す人が多い。
今は不登校の児童が増えているから、小学校生活に対する保護者の不安が大きいのかな、とも思う。

 

次男の運動会で

先日、次男が通う園で運動会があった。

年長にもなると種目も本格的で「競技」といった感じだ。

3年間いっしょに過ごした子どもたちと一緒に力を合わせて競技をする姿は感動的だった。

運動会に興味がない私が、次男が通う園の運動会の子どもたちの姿には感動した。

3年間同じ園で過ごしてきたからこそ、気心の知れたクラスメートと協力してひとつのことを作り上げることができる。

卒園後はみんな別々の小学校に進学するとしても、みんなといっしょに何かを成し遂げた経験があれば、その経験を下地にして、小学校に入学しても新しい人間関係を作ることができる。

こどもは今を生きている。

そう思うと、次男は卒園まで同じ園で同じクラスメートと過ごさせてあげようと思う。

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