中国政府がこどもの宿題を減らす政策を始めたことが話題になっている。
色々な報道を見る限り、中国政府は本気のようだ。
中国政府は、学校から課される宿題の量を制限するのみならず、家庭での自主学習の時間や塾通いまでも制限し始めた。そのせいで閉鎖に追いやられた塾が多数にのぼっている。
AO入試や推薦入試が隆盛の日本とは違って、中国の大学入試システムは『高考』という一発勝負。昔の科挙試験の流れを引き継いでいるのだ。
中国では長く続いたひとりっ子政策のため、たったひとりの子どもに集中してお金をかける時代が長く続いた。
今回の中国政府の主な狙いは、こども一人にかけるお金を減らして、その分、こどもを多く生んでもらい、人口減少に歯止めをかけることだといわれている。
中国では最近3人目の出産が許容された。ついこの間まで2人までだったのに、今度は3人目までOKになったのだ。
2人目の出産が許容されたのは2016年。それからたった5年で3人目出産が許容されるようになった。
高齢化により中国の人口は2013年に減少に転じており、それを食い留めるために一人っ子政策を廃止したといわれている。
日本は中国と真逆の方向に進んでいる
中国とは正反対に、日本では相変わらず塾業界が盛況である。
それだけでない。幼稚園・保育園から大学に至るまで公立校を削減してその分私立校を維持する方向に進んでいるのが今の日本である。
でも、民間の力を活用することが良い方向に作用する場合と悪い方向に作用する場合がある。
民間教育機関による圧力を警戒?
中国政府は塾通いや宿題を制限する政策を打ち出したのにも関わらず、大学入試システムである『高考』は今まで通り継続するようである。
中国のような大国の場合、人口が多いがゆえに、民間教育機関を規制せずに野放しにすれば、民間教育機関は全国に多数の顧客(こども)を抱えるようになる。その結果、民間教育機関が大きな力を持ったとき、政府がコントロールできなくなるおそれがある。中国政府はそれを恐れているのではないか。
ベネッセの中国での会員数は100万人
ベネッセが2010年に中国の教育市場に参入して10年以上が経った。
ベネッセが提供する幼児向け教材・こどもちゃれんじのキャラクターである「しまじろう」は、日本では著名だが、中国でも知名度が上がっている。
2017年にはベネッセの中国での会員数は100万人だそうだ(「真似されただけでは我々は負けない」中国でもナンバー1のシェアを誇るベネッセの戦略)。
中国の人口を考えれば、中国でのベネッセの利用者は今後もっと増えてもおかしくなかった。ところが上述のとおり、中国政府が民間教育機関を締め出す政策を打ち出したため、今後は中国市場でのベネッセの伸びは厳しいだろう。
ほんの少し前、大学入試に民間の英語試験を導入するか否かで大混乱に陥った日本の教育界の現状は、中国政府の目にどう映ったのだろうか。その際にやり玉に挙がった民間教育機関のひとつがベネッセだといわれている。
国が教育に責任をもたなくてどうする、とわたしは思うのだが。